五色そうめんは松山市に伝わる郷土料理のひとつ。そうめんに紅花や梅肉、抹茶などを練り込んで色を着けたもので、赤、黄、緑、濃紺にもともとの白を加えた5種類の色がそろうことから、見た目にも美しく食欲をそそる。また、色だけでなく精選された小麦粉を使用してじっくりと乾燥してつくりあげるそうめんは、強いコシと滑らかな舌ざわりを楽しめる逸品だ。その発祥ははるか江戸時代にまでさかのぼるといわれていて、徳川吉宗や朝廷にも献上されたという歴史を持つ。
1635年(寛永12年)、伊勢桑名より松山藩主、初代松平(久松)定行の松山赴任に従って移り住んだ長門屋市兵衛門から五色そうめんの歴史は始まった。1722年(享保7年)、松山藩の参勤交代の献上品として五色そうめんを製造した。