「じゃこ天」とは愛媛県の近海でとれた小魚を磨り潰して形を整え、そのまま油で揚げた魚肉の練り製品である。宇和島では魚のすり身を揚げたものを「天ぷら」と呼んでいた事からその名が付いた。地方によっては、「じゃこてんぷら」や「皮てんぷら」、またはそのまま「てんぷら」と呼ばれることがある。魚が豊富にとれていた宇和島で、雑魚を美味しく食べるために1600年代にうまれた料理とされる特産品および、それを使用した郷土料理。愛媛県では現在も販売店が多く、店毎の特徴を「食べ歩き」で楽しむ観光客も多い。おやつとして大人気。
宇和海で豊富な魚が獲れる八幡浜市や宇和島市では、魚の加工品が盛んで、「じゃこ天」という代表的なものがあります。昔から宇和島では、魚のすり身を揚げたものを「天ぷら」と呼び、皮や骨を含むものを「皮天ぷら」と呼んでいました。底引き網で獲れる様々な魚(雑魚)で作られることから「ざこ天」と呼ばれ、後に「じゃこ天」と変化したという説や、原料の「はらんぼ(ほたるじゃこ)」に由来して「じゃこ天」と呼ばれるようになったという説もあります。製品自体の始まりは、宇和島藩史によれば、元和元年(1615年)に宇和島藩初代藩主の伊達秀宗が故郷を思い出して仙台から蒲鉾職人を招いて作らせたことに起源があるとされています。
「じゃこ天」は年間を通じて広く食べられており、特に南予地方では日常の食卓に欠かせません。一品としてだけでなく、酒の肴としても好まれています。
調理方法は、小魚の身だけでなく皮や骨もすり潰し、小麦粉、卵、塩を加えて堅めに混ぜ、小判状に形を整えて油で揚げます。骨ごと入っているため、カルシウムやミネラルなど栄養が豊富です。揚げたてをそのまま食べる他、火を通して醤油をかけた大根おろしやしょうがと一緒に食べる方法もあります。宇和島市のおでんには、よく「じゃこ天」が入っています。また、肉の代わりに「じゃこ天」を使った天ぷらカレーや、うどんの具として使ったり、すり身の「じゃこ天」にパン粉をまぶして揚げた「じゃこ天カツ」も人気です。
主な伝承地域:南予地方
主な使用食材:小魚、卵、揚げ油