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宇和町卯之町

(うわちょう うのまち)

宇和町卯之町は、愛媛県西予市に位置する重要伝統的建造物群保存地区です。この地域は、歴史的な建造物が数多く残されており、江戸時代から昭和初期にかけての日本の伝統的な町並みを今に伝えています。

宇和町卯之町の歴史と発展

宇和町卯之町は、宇和島藩の在郷町として発展し、幕藩体制の時代には商業と交通の中心地として栄えていました。卯之町の歴史は戦国時代に遡り、当時この地域は伊予西園寺氏の支配下にありました。西園寺氏は、松葉城を居城として卯之町を城下町として整備し、その後、黒瀬城への移転があったものの、卯之町は引き続き城下町として重要な役割を果たしました。

在郷町としての卯之町

城が廃止された後も、卯之町は在郷町として存続し、四国八十八箇所の札所である明石寺の門前町や、宇和島街道の宿駅として多くの人々が行き交う場所となりました。当初、卯之町は現在の位置よりも南西に位置していましたが、1651年(慶安4年)に現在の場所に移転したとされています。

近代化と保存地区の選定

近代に入ると、卯之町駅の開設や国道56号の開通によって町の中心が南方へ移動しましたが、その結果として、伝統的な建造物が良好な状態で残されました。町内には、江戸中期から昭和初期にかけて建てられた商家が並び、白壁、うだつ、出格子など、日本の伝統的な建築様式が今でも息づいています。

文化財と保存地区内の主要建造物

卯之町には多くの歴史的建造物が存在し、その中でも特に注目すべきものは、国の重要文化財に指定されている開明学校や、市指定文化財の末光家住宅、鳥居門などです。また、大正時代に建てられた卯之町キリスト教会も、保存地区内で見られる重要な建造物の一つです。これらの建物は、町の歴史と文化を象徴する存在であり、2009年12月には全国で86番目の重要伝統的建造物群保存地区として選定されました。

開明学校 - 四国最古の小学校

開明学校(かいめいがっこう)は、1882年(明治15年)に愛媛県西予市宇和町に建てられた、四国最古の小学校です。開明学校は、旧開明学校校舎を中心とした宇和文化の里の一部として保存されており、その歴史的な価値が評価されています。

開明学校の歴史

開明学校の前身は、1869年(明治2年)に左氏珠山の門下生や町民の有志によって建てられた私塾「申義堂」でした。1872年(明治5年)、申義堂を校舎として開明学校が開校し、1882年(明治15年)に現在の校舎が完成しました。その後、校名や用途がたびたび変更されましたが、1976年からは教育資料館として、戦前の教科書や学校経営資料など約6000点が展示されています。

擬洋風建築としての旧開明学校校舎

旧開明学校校舎は、木造2階建て、桟瓦葺きで、窓枠にはアーチ状のデザインを取り入れるなど、わずかに洋風の意匠が施された擬洋風建築です。地元の大工によって建築されたこの校舎は、建築史や教育史において重要な位置を占めています。特に、屋根裏から発見された「開明学校新築始末書」により、建築の時期とその背景が明らかになっており、その歴史的価値が高く評価されています。

1997年5月には、旧開明学校校舎が国の重要文化財に指定され、教育史上の貴重な遺産として保存されています。校舎内には、戦前の教室が再現されており、当時の教育の様子をうかがうことができます。

宇和町卯之町と文化の保存

宇和町卯之町は、その豊かな歴史と文化を誇りとする地域であり、現在も多くの人々がその魅力を訪れています。町内には、先哲記念館、民具館、米博物館といった文化施設があり、地域の歴史と伝統を次世代に伝えるための活動が行われています。

これらの文化的な遺産は、単なる観光地としてだけでなく、地域の誇りとして大切にされており、今後もその保存と活用が期待されています。

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名称
宇和町卯之町
(うわちょう うのまち)

宇和島・大洲

愛媛県