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八日市護国

(ようかいち ごこく)

八日市護国は、愛媛県喜多郡内子町にある伝統的建造物群保存地区で、1982年に国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されました。製蝋業で栄えたこの地域は、伝統的な町並みが色濃く残る風情ある場所です。南北約600メートルにわたって続く街道沿いには、町家や豪商の屋敷が立ち並び、江戸時代から続く歴史を感じることができます。

八日市護国地区の特徴

美しい町並みと伝統的な建築物

八日市護国地区には、切妻造の2階建て町家や豪商の屋敷など、多くの伝統的な建築物が見られます。その建物の多くは黄みを帯びた漆喰の外壁で覆われ、全体の約70%が漆喰壁を持つ点が特徴です。軒線が整然と並び、海鼠壁懸魚鬼瓦虫籠窓などの装飾が施された建物が数多く残されています。

製蝋業の発展と歴史的背景

この地域は、江戸時代中期以降、大火に見舞われることがなく、和紙と木蝋の生産で得た富によって質の高い町家が建てられました。山裾に位置するため、都市開発が遅れた結果、伝統的な建物が数多く残っている点もこの地区の魅力です。江戸時代後期から昭和初期にかけての様々な年代の建物が混在している景観は、全国的にも珍しいものです。

八日市護国地区の歴史

内子町の繁栄と製蝋業の発展

江戸時代、内子は大洲藩の領地で、交通の要所として栄えていました。18世紀には商品作物としてハゼノキが栽培され、大洲藩の奨励によって木蝋生産が拡大しました。19世紀半ばには、本芳我三右衛門が画期的な製法を発明し、大量生産と分業制が確立されました。この結果、内子の木蝋はパリ万国博覧会シカゴ万国博覧会などで高い評価を受け、日本を代表するブランドとなりました。

製蝋業の衰退と町並み保存の取り組み

しかし、大正時代以降、原材料不足や代替品の登場により、木蝋産業は急速に衰退し、1924年には内子から製蝋業者がすべて姿を消しました。その後、1972年に文化庁によって町並み保存の調査が行われ、1982年にこの地区は四国初の重要伝統的建造物群保存地区として選定されました。

イベントと観光

中秋の名月に開催される観月会

八日市護国地区では、中秋の名月に「観月会」が開催され、地区内の家々の軒先に行灯が灯されます。また、本芳我家住宅の庭園がライトアップされ、幻想的な雰囲気の中で美しい月を楽しむことができます。この時期は特に多くの観光客が訪れ、町並みの美しさを満喫します。

保存活動の成果と文化財

重要文化財の指定

1990年には、本芳我家住宅、上芳我家住宅、大村家住宅が重要文化財に指定されました。また、1991年には製蝋用具1444点重要有形民俗文化財として指定され、保存活動が進められています。

受賞歴

八日市護国地区はその美しい町並みが高く評価され、数々の賞を受賞しています。

アクセス

八日市護国地区へのアクセスは、JR予讃線・内子線内子駅から徒歩15分と便利です。美しい伝統的な町並みを散策し、歴史を感じることができる八日市護国地区を、ぜひ訪れてみてください。

Information

名称
八日市護国
(ようかいち ごこく)

宇和島・大洲

愛媛県