内子座は、愛媛県喜多郡内子町にある歴史ある芝居小屋です。内子町の重要伝統的建造物群保存地区「八日市護国」の近くに位置し、1916年(大正5年)に大正天皇の即位を祝うため、内子町の有志により建設されました。1982年に内子町指定有形文化財に指定され、その後、復元工事が実施されました。さらに2015年には国の重要文化財に指定され、今も地域の文化的なシンボルとして活用されています。
内子座は、内子町が木蝋や生糸などの産業で栄えていた時期に、地元の人々の娯楽の場として発案されました。当時は歌舞伎や文楽をはじめ、映画や落語なども上演され、地元の文化を支える重要な施設として機能していました。
木造2階建ての瓦葺き入母屋造りの建物で、観客収容人数は約650名です。建築面積は1階177坪、3階65坪で、合計242坪の敷地を持っています。主要設備としては、伝統的な枡席、回り舞台、奈落、すっぽんなどがあり、当時の芝居小屋の雰囲気を今も感じさせる貴重な文化財です。
内子座の歴史は、明治末期から大正時代にかけて、内子の町が木蝋や生糸などの産業で繁栄していた頃にさかのぼります。大正天皇の即位を祝して建設されたこの芝居小屋は、農閑期に歌舞伎や文楽が演じられ、その後も映画や落語の会場として使われてきました。しかし、昭和40年代になると老朽化が進み、取り壊しの危機に直面しました。
この時、町並み保存地区に近接していることもあり、内子座をまちづくりの核として活用すべきとの町民の要望が高まりました。これを受けて1983年から1985年にかけて復元工事が実施され、現在の姿が取り戻されました。
現在、内子座は地域の文化活動の拠点として、文楽や歌舞伎の公演が行われるほか、講演会やまちづくりに関する会合など、さまざまなイベントが開催されています。地域住民だけでなく観光客にも愛される存在として、内子町の歴史と文化を今に伝えています。
内子町では2020年から内子座の耐震補強や消火設備、空調設備の整備など、大規模な保存修理工事のための調査を行ってきました。その結果、2024年(令和6年)9月2日から5年間にわたる休館が決まり、工事が進められています。再オープンは2029年春を予定しており、それまでに施設がさらに充実し、安全性が向上した形で内子座が蘇る予定です。
内子座は、伝統的な芝居小屋としての機能を持つと同時に、現代のニーズに合わせた設備を備えています。以下はその主な施設概要です。
内子座は、650名を収容できる規模を誇ります。歌舞伎や文楽といった大規模な公演にも対応できるよう、回り舞台や奈落、すっぽんなど、伝統的な舞台設備が整っています。
内子座へのアクセスは、JR予讃線・内子線の内子駅から徒歩15分程度です。観光名所「八日市護国」の近くに位置しているため、内子町の歴史的な街並みを散策しながら訪れることができます。
内子座は、その歴史的価値だけでなく、現代の舞台芸術の発展においても重要な役割を果たしています。内子町を訪れる際には、ぜひこの歴史ある芝居小屋を訪れ、地域の文化に触れてみてください。