愛媛県南予地方に位置する鬼北町は、自然豊かな中山間地帯にあり、四万十川の上流部に広がる広見川流域を中心に発展した町です。古くから「鬼北」という名で知られていますが、合併によって誕生したこの町は、歴史的背景と豊かな自然を生かした観光資源が多数あります。
鬼北町は、四国山地に囲まれた鬼北盆地を中心とした地域で、北宇和郡に属しています。町の中心部は旧広見町の近永地区にあり、JR四国予土線の近永駅を拠点としています。また、国道320号や愛媛県道57号が通る交通の要所でもあり、商業施設や公共機関が集まっています。
鬼北町は、山々に囲まれた自然豊かな地域で、高月山(1228m)や郭公岳(1010m)、泉が森(754.7m)といった山々がそびえています。特に泉が森は、地元では「三間富士」として親しまれています。また、広見川や奈良川などの河川が町を流れ、豊かな水源が地域の農業や観光に貢献しています。
鬼北町で最も有名な自然スポットの一つが「成川渓谷」です。約3kmにわたる渓谷美は、四国八十八景の46番に選ばれており、四季折々の風景が楽しめます。春には桜、夏には緑豊かな木々、秋には紅葉、冬には雪景色と、一年を通じて訪れる人々を魅了します。渓谷沿いには遊歩道が整備されており、散策を楽しむことができます。
「轟(とどろ)の甌穴群」は、鬼北町のもう一つの自然遺産です。長い年月をかけて水の浸食によってできた丸い穴が岩場に広がり、独特の風景を作り出しています。この甌穴群は日本でも珍しいもので、鬼北町ならではの自然の力を感じることができるスポットです。
鬼北町には「節安ふれあいの森」という家族連れに人気の高いレクリエーションエリアもあります。広大な敷地内には、自然を満喫できる散策コースやキャンプ場があり、バードウォッチングや森林浴を楽しむことができます。自然とふれあいながら、ゆったりとした時間を過ごせる場所として、多くの観光客に親しまれています。
鬼北町は農業や林業が主な産業であり、特産品としては米や柑橘類、野菜などが挙げられます。また、清らかな水で育てられた鮎やアユ、ウナギ、モクズガニなど、地元の川で獲れる新鮮な魚介類も有名です。これらの名産品は、地元の道の駅や市場で購入でき、観光客にも人気です。
鬼北町には、観光客向けの施設として「道の駅日吉夢産地」と「道の駅広見森の三角ぼうし」があります。両方の道の駅では、地元で生産された新鮮な農産物や特産品が販売されており、地元の食材を使ったレストランも併設されています。
国道320号沿いにある「道の駅日吉夢産地」は、広大な敷地に地元の農産物直売所やレストランがあり、観光客が地元の味覚を楽しめるスポットです。また、周辺には日吉温泉もあり、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
「道の駅広見森の三角ぼうし」も国道320号沿いに位置し、観光情報の提供や休憩施設として利用されています。ここでは、鬼北町の観光スポットや名産品に関する情報を得ることができるので、観光の際には立ち寄ってみると良いでしょう。
鬼北町は、2005年に広見町と日吉村が合併して誕生しました。「鬼北」という地名は、鬼ヶ城山を由来としています。この地域では、古くから「鬼北は一つ」というスローガンが語られ、地理的・心理的なまとまりを持っていました。
鬼北町が誕生する前、広見町は1955年に近隣の町村と合併して誕生しました。一方、日吉村は1890年に成立した後、昭和の大合併期を経ても独立を保っていました。2005年に両町村が合併し、鬼北町が新たに誕生しましたが、この過程には地域の歴史や住民の思いが深く関わっていました。
鬼北町は、自然豊かな環境と歴史的背景を持つ町であり、観光地としても魅力的なスポットが多数あります。成川渓谷や轟の甌穴群、節安ふれあいの森など、自然を満喫できる場所が多く、四季折々の美しい風景が楽しめます。また、道の駅や地元の特産品を通じて、鬼北町ならではの味覚を楽しむこともできます。訪れるたびに新たな発見がある鬼北町を、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。