鹿島は、愛媛県南宇和郡愛南町の外泊地区に向かい、宇和海に浮かぶ美しい島です。島の頂上には展望台があり、周囲を囲む海域は宇和海海中公園および足摺宇和海国立公園に指定されています。自然の美しさと豊かな生態系が特徴で、1955年11月4日には愛媛県の指定名勝となりました。
鹿島は藩政時代、旧宇和島藩の「御狩場」として保護されていたため、一般の立ち入りが禁止されていました。そのため、自然の保存が良く、現在も動植物が豊富に生息しています。現在は県有地となり、自然が美しいまま保たれており、キュウシュウジカやニホンザルが餌付けされています。
黒潮の分流の影響を強く受ける鹿島には、亜熱帯性の植物群が豊富に自生しています。陸域にはホウライシダ、ケホシダ、オオバライチゴ、モロコシソウなどの植物が見られ、珍しい植物であるニッポンタチバナやケナシアオギリも分布しています。また、高知県の沖の島や西海半島など特定の地域にしか自生しないオキノシマテンナンショウやナンゴクウラシマソウなども確認されています。
鹿島にはキャンプ場が整備されており、夏季には海水浴やキャンプで賑わいます。色とりどりの珊瑚類や熱帯魚の群れが織りなす海中は、訪れる人々を魅了する美しさで、シュノーケリングやダイビングに最適な環境です。
5月中旬には、毎年恒例の「ホタル&サンセットウォッチング」が行われ、多くの観光客で賑わいます。この時期には、ヒメボタルが大量に発生し、幻想的な光景を楽しむことができます。夕日とホタルの光が交差するひと時は、他では味わえないロマンチックな体験です。
鹿島の南岸には、「鹿島穴(うど)」と呼ばれる奥行き120メートルの大洞窟があります。舟で入ることができるため、神秘的な空間を楽しむことができます。このほかにも「鹿島洞」や「三日月洞」といった壮大な海食洞があり、海の浸食によって作り出された自然の芸術品が観光客を魅了します。
鹿島にはキュウシュウジカやニホンザルが生息しており、観光客が近くで見ることができます。また、天然記念物のカラスバトも訪れることがあり、野生動物たちの生態を観察できる環境が整っています。
鹿島の海域では、イシサンゴやウミトサカといった珊瑚類が生息し、色とりどりの熱帯魚たちが集まる美しい「海のお花畑」が広がっています。海水浴やシュノーケリングだけでなく、グラスボートで海中の様子を眺めることもでき、ファミリーや初心者でも楽しめるスポットです。
愛媛県道320号船越平城線(かつての西海有料道路)を利用すると、国道56号から分岐して約15分で鹿島渡船乗り場に到着します。ここには駐車場と水洗トイレが完備されており、車でのアクセスが便利です。
JR予讃線の宇和島駅から宇和島自動車バスを利用し、「城辺バスターミナル」で「外泊・武者泊行き」に乗り換えて「鹿島渡し」バス停で下車することができます。夏季には「とらや」前から渡船が運航され、グラスボートも通年で運航しているため、観光シーズンには多くの観光客が訪れます。
鹿島は、美しい自然と豊かな生態系に恵まれ、亜熱帯の植物群や野生動物、歴史的な背景を持つ観光スポットとして訪れる人々を魅了します。また、海中の珊瑚礁や熱帯魚、幻想的なホタル観賞など、ここでしか体験できない特別な観光要素も多く、家族やカップル、友人同士で楽しめるおすすめのスポットです。