高茂岬は、愛媛県南宇和郡愛南町に位置し、豊後水道に突き出る船越半島の一部にあります。この岬は足摺宇和海国立公園に指定されており、四国八十八景の43番「連なる断崖絶壁と太平洋の広大な海原を一望」に選ばれるなど、美しい景観が広がる観光名所として知られています。
高茂岬の展望所からは、南に高知県の沖の島や鵜来島を望むことができます。西側には豊後水道を越えて九州山地が見えることもあり、特に夕刻には美しい風景が楽しめます。これらのパノラマビューは、多くの観光客にとって魅力的なポイントとなっています。
高茂岬の海岸線は、80〜100メートルにも及ぶ断崖絶壁が連なる海食崖が特徴です。この自然が生み出した独特の地形は、太平洋の雄大な風景と相まって訪れる人々を魅了します。
高茂岬の周辺には、ノジギクが群生し、毎年11月頃には美しい花を咲かせます。また、ウバメガシやアオギリといった植物が自生し、自然の豊かさが感じられる場所です。さらに、日本猿や狸、兎などの野生動物も多く生息しており、動植物の観察を楽しむことができます。
高茂岬は第2次世界大戦中に軍事的な役割を果たしていました。岬の先端には砲台が設置され、さらには潜水艦などの侵入を監視するための防備衛所「高茂衛所」が設置されていました。これは、同じく防備衛所であった「由良衛所」と共に、重要な海域防衛の拠点として機能していました。
高茂岬へのアクセスは、愛媛県道34号平城高茂岬線および愛媛県道300号高茂岬船越線が整備されているため、半島を一周するドライブを楽しむことができます。アクセスには公共交通機関の定期船やバスはなく、車での移動が一般的です。
高茂岬は船越地区から西回りで約12kmの距離にあります。車でのアクセスが便利なため、ドライブを楽しみながら訪れることができる人気のスポットとなっています。
高茂岬は、豊かな自然環境と共に歴史的な背景を持つ観光地です。雄大な断崖絶壁や太平洋の広がり、さらには日本猿などの生息する自然環境は、訪れる人々に四季折々の美しさを提供します。歴史と自然が融合した高茂岬は、愛媛県内でも特に風光明媚なスポットとして、多くの観光客に愛され続けています。