滑床渓谷は、愛媛県宇和島市から北宇和郡松野町にまたがる美しい渓谷で、四万十川の支流である目黒川の最上流部12kmにわたるエリアを占めています。この地域は足摺宇和海国立公園にも指定されており、愛媛県を代表する観光スポットのひとつです。
「滑床」の名は、花崗岩が長年にわたる水の浸食で滑らかな岩肌となっていることに由来しています。代表的な景勝地として、落差80メートルの雪輪の滝(ゆきわのたき)、霧ヶ滝、象頭岩、太鼓岩、千畳敷などが挙げられます。自然豊かな環境には、野生の猿や鹿が生息しています。
渓谷の大半は宇和島市域に位置していますが、観光開発は主に北宇和郡松野町が進めてきました。宇和島市から直接アクセスできる道路はなく、松野町側からのアクセスが一般的です。
滑床水源の森は、鬼ヶ城山の北麓に広がる森林で、1995年に林野庁の「水源の森百選」に選ばれました。このエリアには、四国南限のブナ林やシャクナゲ、ヒメシャラなどの自然林があり、多様な動植物の生息地となっています。
四季折々に美しい景観が広がり、「美しい日本の歩きたくなるみち500選」にも選ばれています。渓流や滝、森林が一体となった景観は訪れる人々の目を楽しませます。
愛媛県宇和島市野川滑床
雪輪の滝は、日本の滝百選や四国八十八景にも選ばれている名所です。全長約300メートルの緩やかなナメ滝で、雪の輪のように水が流れる様子が美しく、その名がつけられました。
JR予土線松丸駅から車で約25分。また、松山自動車道大洲北ICからも約90分でアクセスでき、駐車場から滝までは徒歩約40分です。
滑床の名前の由来となった「千畳敷」は、一枚岩の広がる河床がまるで大広間のような景観を持っています。夏の新緑や秋の紅葉が美しく、訪れる人々に癒しを提供します。
大嵓の滝は、2段の豪壮な滝で、厳冬期には氷瀑としても有名です。上流部に位置するため、健脚向けのスポットですが、その壮観な眺めは訪れる価値があります。
滑床渓谷は、宇和島市、鬼北町、松野町に広がり、渓谷美、山岳美、森林美が揃う自然休養林です。滑床自然休養林内には、成川渓谷や鬼ヶ城山系などがあり、自然観察やハイキング、キャンプなどが楽しめます。
滑床渓谷周辺には「森の国ホテル」やキャンプ場、鉱泉を利用した休養センターなどの施設が整備され、観光客のための便利な宿泊施設が充実しています。
滑床渓谷へは、国道381号から高知県道8号を経て愛媛県道270号に入りアクセスするのが一般的です。なお、一部狭い区間もあるため、安全運転が求められます。
最寄りの駅はJR予土線の松丸駅で、そこから車で約25分で滑床渓谷に到着します。
松山自動車道の大洲北ICから国道197号、国道381号を経由して、約90分で滑床渓谷に到達します。駐車場は無料で利用できます。
滑床渓谷は、足摺・宇和海国立公園および鳥獣保護区の指定を受け、自然観察のフィールドとしても利用されています。代表的な観光名所である雪輪の滝や千畳敷をはじめ、訪れる人々に豊かな自然を提供し、愛媛県の自然観光資源としての役割を果たしています。
四季折々の植物の変化や渓流の美しい流れが見られ、訪れる人々を魅了します。滑床渓谷は、美しい自然と豊かな生態系を兼ね備えた貴重な観光地であり、未来に向けた環境保護も重要視されています。