道後温泉駅は、愛媛県松山市道後町1丁目に位置する伊予鉄道城南線の停留場です。駅番号は24で、市内電車（松山市内線）の3号線および5号線が利用されています。この駅は、愛媛県を代表する観光地である道後温泉の最寄り駅として、多くの観光客に利用されています。
道後温泉駅は、松山市の人気観光地である道後温泉に最も近い駅です。この駅は、坊っちゃん列車の終着駅でもあり、引き上げ線では機関車の方向転換を見ることができます。伊予鉄道の市内線停留場は通常「電停」と呼ばれますが、道後温泉駅に限っては「駅」という名称を用いています。
道後温泉駅は、相対式ホーム2面2線の構造で、ホームの西側には引き上げ線があり、列車の折り返しや夜間滞泊に使用されています。この引き上げ線は、かつて1927年に廃止された旧道後鉄道城北線のルートの名残でもあります。
駅には、坊っちゃん列車の展示線があり、夜間には列車がライトアップされることもあります。昼間でも、運行の合間に展示線に入線することがありますので、列車の雰囲気を楽しむことができます。
道後温泉駅の駅舎は、1911年（明治44年）に建築された旧駅舎が明治洋風建築そのままの姿で復元され、現在もその姿を保っています。周囲の景観形成に貢献しており、夜間には美しいライトアップが施されます。この駅は観光の拠点としても機能しており、職員が常駐していますが、改札はなく、運賃の収受は他の停留場と同様に車内で行われます。
道後温泉駅前には、伊予鉄バスの「道後温泉駅前バス停」が設置されています。停留場前の広場が狭いため、引き上げ線の北側に路線バス用のターンテーブルが設置されており、松山空港線普通便では乗客を乗せたまま方向転換を行います。
高速バスの大阪線は駅前広場に進入せず、タクシーのりば付近に停車します。瀬戸内運輸が運行する大三島特急線は、当駅から南へ約50メートルの「道後公園北口子規記念館前」停留所から発着します。また、宇和島自動車が運行している城辺・松山線は、当駅から南へ約300メートルに位置する道後案内所から発着します。
道後温泉駅の歴史は古く、1895年（明治28年）8月22日に道後鉄道が道後駅を開業したことに始まります。当時は城北方面から現在の樋又通りを経由して道後に入り、現在より東寄りのルートで松山（現在の大街道）に向かっていました。
その後、1900年（明治33年）に道後鉄道が伊予鉄道に合併され、道後駅も伊予鉄道の一部となりました。1911年（明治44年）には旧道後鉄道が762mm軌間から1067mmに改軌され、同時に電化も行われ、現在の駅舎が新築されました。
その後もいくつかの変遷を経て、1961年（昭和36年）には「道後温泉駅」と改称され、1986年（昭和61年）には駅舎の老朽化に伴い、一部の建材を再利用して旧駅舎を忠実に再現した新しい駅舎が完成しました。
2017年（平成29年）12月22日には、駅舎の美装化やスロープ、点字ブロックの整備などのバリアフリー化が行われ、駅舎内にスターバックスコーヒー道後温泉駅舎店がオープンしました。この改修により、観光客にとってさらに快適な環境が整いました。
道後温泉駅の周辺には、観光客に人気のスポットが点在しています。特に有名なのは、道後温泉本館です。これは日本最古の温泉施設のひとつであり、歴史と伝統を感じることができます。さらに、駅前には「坊っちゃんカラクリ時計」や足湯があり、観光客が立ち寄りやすい環境が整えられています。
道後温泉駅前からは、道後商店街が広がっており、アーケードのある通りでは、様々な土産物や地元の特産品を購入することができます。観光の合間に散策を楽しむのに最適な場所です。
また、駅周辺には道後公園があり、湯築城跡も見どころのひとつです。ここは、歴史的な遺構が残る公園で、四季折々の風景を楽しむことができます。特に春には桜が美しく咲き誇り、多くの観光客や地元の人々が訪れます。
駅の近くには、俳人・正岡子規に関する資料を展示する松山市立子規記念博物館もあり、文学ファンには必見のスポットです。
伊予鉄道の市内電車3号線および5号線では、道後温泉駅から次の停留場として「道後公園停留場」があります。坊っちゃん列車に乗車する場合は、道後温泉駅から「上一万停留場」での降車のみが可能です。
道後温泉駅は、観光地としてもアクセスが良好で、伊予鉄バスや高速バス、松山空港からのリムジンバスなどが発着しています。遠方からの観光客にとっても利用しやすい交通の便が整っています。
道後温泉駅は、愛媛県松山市を訪れる観光客にとって欠かせない拠点のひとつです。歴史ある駅舎と周辺の観光スポット、充実したアクセス情報により、多くの観光客に利用されています。駅周辺の魅力的な観光地を巡る際には、ぜひ道後温泉駅を拠点として観光を楽しんでください。