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タルト(松山銘菓)

(松山あげ(小判・大判・きざみ))

愛媛でタルトといえばカステラで巻いたロールケーキ状のお菓子

「タルト」というと全国的に、世界的にもお皿状のサクッとしたパイ生地の上にフルーツやクリームをのせた洋菓子のこと。でも愛媛県民が思い浮かべるタルトは、見た目はロールケーキ、食べれば柚子が香餡入りの和菓子の、やわらかなカステラ生地であんを巻き上げた松山名菓。

愛媛を代表する郷土菓子のひとつで、起源を辿るとなんと江戸時代にまで遡る。1647(正保4)年、久松家 初代 松山藩主・松平定行は、幕府からの命を受けて、長崎の監視や警護を行う長崎探題職を兼務していた。ポルトガル船が長崎へ入港したという知らせを聞いて、急遽長崎の海上警備へ赴いた定行公は、カステラの中にジャムが巻かれた南蛮菓子タルトに出合い、その味の虜に。松山への帰郷の際に製法を持ち帰ったと伝わる。製法は後に久松家の家伝となり、明治以降に松山の菓子司に技術が広められた。もともとジャムが巻かれていたものを、ジャムが柑橘系だったことから四国特産の柚子をアクセントに加え、餡を巻くように独自にアレンジしたのは松平定行とも言われる。

見た目はロールケーキだが、愛媛特産のゆずを使ったあんがさわやかな食味を残す。餡に柚子と小豆が入り、断面が「の」の字になっていることがポイントで、季節によって桜や甘夏みかん、栗などを餡にしたりと四季折々楽しめるお菓子となっている。

県民に愛されている名物菓子で「タルト人」というゆるキャラも生まれた。生菓子だが日持ちも長く、ご贈答用としても定番となっている。松山の二大老舗である1883年(明治16年)に創業の一六本舗の「一六タルト」、1933年(昭和8年)に創業の六時屋の「六時屋タルト」、東予の製菓メーカー ハタダの栗の入った「ハタダ 栗タルト」、亀井製菓のひとくちサイズの「亀井のひとくちタルト」など、多くの名店があるので、お気に入りを見つけてみてはいかがだろう。

主な伝承地域:松山市
主な使用食材:卵、小麦粉、こし餡

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名称
タルト(松山銘菓)
(松山あげ(小判・大判・きざみ))

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