北条鹿島は、愛媛県松山市北条地区(旧・北条市)の沖合に浮かぶ小さな島で、瀬戸内海国立公園に属しています。島は通称「鹿島(かしま)」とも呼ばれ、豊かな自然と歴史的な背景を持つ観光地として知られています。
北条鹿島は、北条港から渡船でわずか約3分(ひとり往復210円)で訪れることができる便利な立地にあります。島には駐車場も完備されており、車で訪れる観光客にも優しい環境が整っています。かつて「伊予の江ノ島」とも呼ばれたこの島には、野生のキュウシュウジカが生息しており、自然愛好家にとっても魅力的なスポットです。
毎年5月3日には鹿島神社の祭礼として「櫂練り(かいねり)」が行われており、この行事は愛媛県指定無形民俗文化財に指定されています。さらに、翌4日には「大注連縄張替え」という伝統行事も行われ、観光客にとっても見どころの多いイベントです。
北条鹿島には飲食施設「太田屋」があり、ここでは名物の鯛めしを味わうことができます。この鯛めしは、神功皇后が三韓征伐に先立って鹿島に立ち寄った際に、戦勝祈願として出されたという伝承が残る伝統料理です。その味わいは、島を訪れる観光客にとって欠かせない楽しみのひとつとなっています。
北条鹿島の山頂には、NPO法人地域活性化支援センターによって「恋人の聖地サテライト」として認定された展望台があります。ここにはモニュメントが設置されており、訪れる人々は「幸せの鐘」を鳴らすことができます。恋人同士で訪れると特別な思い出になるでしょう。
「かしまーる」は、北条地区の自然や文化についての展示を行っている博物展示館です。年中無休で観覧無料となっており、家族連れや学習目的で訪れる方々にもおすすめです。
鹿島には二カ所の鹿園があり、数十匹のキュウシュウジカが飼育されています。愛らしい鹿たちとのふれあいは、子供から大人まで楽しめる魅力的な体験です。
鹿島神社は、神功皇后が三韓征討の途中に立ち寄り、戦勝と道中の安全を祈願したとされる神社です。主祭神は武甕槌命(たけみかづちのみこと)、経津主神(ふつぬしのかみ)、事代主神(ことしろぬしのかみ)であり、以降、武家が尊崇し松山藩主も参拝した由緒ある神社です。
北条鹿島は、松山市北条地区の沖合約400mに位置し、周囲1.5kmの小さな島です。島全体には暖地性常緑照葉樹が茂り、約260種の植物が生息しています。また、鹿島の野生シカは愛媛県指定の天然記念物であり、一部は保護飼育されています。
標高113.8mの山頂まで続く遊歩道があり、山頂には展望台や神功皇后にまつわる「御野立の巌(おのだちのいわお)」、中腹には城跡の石積みなどが残されています。さらに、海岸沿いにはキャンプ場やバーベキュー場、海水浴場、旅館、売店などの施設も充実しています。
仲哀天皇の后・神功皇后が西征の途中に軍船を鹿島に停泊させ、戦勝を祈願したと伝えられています。彼女は島の東部中腹に仮宮を設け、髪洗磯で御姿を整え、御野立の巌から弓矢を沖に向かって放ちました。その後、大津地の港を出発し、戦勝を祈願したとされています。この神話的な逸話は、現在でも鹿島の歴史と文化に深く根付いています。
鹿島の西沖合いには、玉里島と寒戸島という二つの岩があります。これらは三重県二見の夫婦岩に似ていることから「伊予の二見」と呼ばれています。毎年5月4日には鹿島祭りの一環として、大注連縄の張替えが行われます。この行事は、海上安全、五穀豊穣、大漁を祈願する伝統的な儀式で、見物客を乗せた船も多数出航し、賑わいを見せます。
北条鹿島へは、松山市北条港から旅客船「鹿島公園渡船」が運航しており、7時から17時の間は4月~10月は20分毎、11月~3月は30分毎に運行されています。18時から20時は30分毎に運航され、その後は季節や曜日によって変動があります。船内放送は松山市出身の芸人・友近さんがナレーションを担当しており、訪れる人々を楽しませてくれます。
最寄り駅はJR予讃線の伊予北条駅で、特急が一部停車し、徒歩15分で北条港へアクセスできます。また、北条港側には駐車場も完備されており、車でのアクセスも便利です。
北条鹿島は、歴史と自然が調和した魅力的な観光スポットです。恋人の聖地としてカップルにも人気があり、自然散策や歴史探訪、伝統行事の見学など、様々な楽しみ方ができます。松山市を訪れた際には、ぜひ足を延ばして北条鹿島を訪れてみてはいかがでしょうか。