四国カルストは、愛媛県と高知県との県境に広がるカルスト台地で、日本三大カルストの一つに数えられています。標高は約1,400m、東西に約25kmの幅を持ち、広大な風景が広がります。このカルスト台地は、山口県の秋吉台、福岡県の平尾台と並んで日本を代表するカルスト地形で、最も高い標高からは石鎚山などの周辺の山々を一望することができます。
四国カルストは西から「大野ヶ原」、「姫鶴平(めづるだいら)」、「五段高原」、「天狗高原」と続くなだらかな山肌が特徴です。夏には緑豊かな草原が広がり、秋には一面にススキが生い茂り、四季折々の自然を楽しむことができます。地表に露出した石灰岩が点在し、その風景はとても独特です。さらに、乳牛の放牧地帯としても有名で、多くの牛たちがのんびりと草を食む姿は、訪れる人々に牧歌的な風景を提供しています。
四国カルストは観光地としても人気があり、愛媛県では1964年(昭和39年)3月21日に「四国カルスト県立自然公園」として指定されました。天狗高原は特に雲海や星空の美しさで知られ、「天空の爽回廊」として地元高知県でもPRされています。
四国カルストの西部に位置する「大野ヶ原」は、標高1,402.8mの「源氏ヶ駄場」を最高地点とし、四国百名山の34番目に指定されています。このエリアには一等三角点が設置されており、豊かな自然と酪農が盛んな地域です。また、すり鉢状の地形である「ドリーネ」の中に集落が形成されており、その独特な風景が広がっています。
四国カルストの中央部に位置する「姫鶴平(めづるだいら)」は、宿泊施設である「姫鶴荘」やコテージ、キャンプ場が整備されており、自然の中でゆっくりと過ごすことができます。さらに、風力発電の風車が20基設置されている「風の里公園」もあり、環境に優しいエネルギーの利用を感じることができるエリアです。
「五段高原」は、四国百名山の35番目に指定されており、最高地点は「五段城」(標高1,455.6m)です。広大な高原の景色を楽しみながら、自然の息吹を感じることができます。
四国カルストの東部に位置する「天狗高原」は、標高1,484.9mの「天狗ノ森」を最高地点とし、四国百名山の36番目に指定されています。ここでは、雲海や星空の美しさを堪能でき、国民宿舎「天狗荘」やカルスト学習館などの施設も充実しています。カルスト学習館では、カルスト台地の成り立ちや周辺の動植物について学ぶことができ、訪れる人々にとって貴重な学びの場となっています。
四国カルストの中央に位置する「地芳峠(じよしとうげ)」には国道440号が通っており、この峠を中心に各方面へのアクセスが可能です。地芳峠から東に向かうと、愛媛県道・高知県道383号「四国カルスト公園縦断線」と高知県道48号「四国カルスト公園線」が延び、天狗高原の南側の国道439号に接続しています。また、国道440号を地芳峠から北上することで、愛媛県道36号「野村柳谷線」とも接続します。
大野ヶ原から姫鶴平、五段高原、そして天狗高原へと続く「四国カルスト公園縦断線」は、広々とした風景を楽しみながら移動できるルートです。このルートは自動車や自転車、バイク、徒歩など様々な手段で訪れることができ、その壮大な景観は「四国八十八景」の32番に選ばれています。
また、近隣の道の駅としては、高知県檮原町(ゆすはらちょう)にある「道の駅ゆすはら」があります。この道の駅は、休憩所としてだけでなく、周辺の観光情報を得る拠点としても利用できます。
姫鶴平にはキャンプ場が整備されており、アウトドアを楽しむことができます。家族連れやグループでのキャンプに最適な場所です。
冬季には天狗高原スキー場でスキーやスノーボードを楽しむことができ、四国カルストの冬の楽しみ方の一つとなっています。
檮原町に位置する「道の駅ゆすはら」には、オートバイ旅行者向けの宿泊施設「ライダーズイン雲の上」やプールなどの施設もあり、ツーリングの休憩地点としても人気です。周辺には風力発電の風車が設置されており、環境に優しいエネルギーの利用を体感することができます。
四国カルストは、愛媛県と高知県の県境に広がる美しいカルスト台地で、四季折々の自然を楽しむことができます。広大な草原と点在する石灰岩、放牧される乳牛の姿は訪れる人々に癒しを与え、天狗高原からの星空や雲海の絶景は、まさに「天空の爽回廊」と呼ぶにふさわしい風景です。豊かな自然と文化を感じながら、四国カルストの魅力を存分に味わってみてはいかがでしょうか。