浄土寺は、愛媛県東温市下林町に位置する真言宗醍醐派の寺院で、山号は護皇山、院号は天龍院(てんりゅういん)です。四国三十六不動霊場第18番札所、および伊予七福神まいりの福禄寿の札所として知られています。本尊は大日如来で、多くの信仰を集めています。
浄土寺の歴史は、文永11年(1274年)に遡ります。創建のきっかけは、一遍上人が伊予国守・越智通秀の寄進を受け、承久の乱(1221年)で戦死した武将たちの霊を慰めるために建立したことにあります。当初は時宗の寺院として開かれましたが、天正3年(1575年)に真言宗に改宗し、身代り不動明王を本尊として迎え、祈祷寺として現在に至っています。
昭和50年(1975年)には「ほっこり往生老楽観音菩薩」が刻まれ、昭和59年(1984年)に開眼安置されました。この観音菩薩は、健康長寿で往生する際に、安らかに極楽往生できるとして信仰されています。
浄土寺の本堂は、荘厳な佇まいで訪れる人々を迎え入れます。本尊は大日如来と不動明王で、向かって左の脇室には「老楽観音」が安置されています。この老楽観音は、病気平癒や家内安全、子宝祈願など、多くの祈願の対象となっています。
水子地蔵堂には、石造の地蔵菩薩が多数の水子地蔵に囲まれる形で安置されています。この場所では、特に水子供養を願う参拝者が多く訪れ、安らかな成仏を祈る光景が見られます。
境内には不動明王の石像もあり、参拝者はここで不動明王の力強いお姿に触れることができます。この石像は、悪事災難から人々を守るご利益があるとされ、多くの人々が安全祈願や厄除けのために訪れます。
浄土寺への交通アクセスは、伊予鉄道郊外線の見奈良駅から約1.8 kmの距離にあります。車を利用する場合は、専用の駐車場も完備されており、比較的アクセスしやすい場所にあります。駅からは徒歩やタクシーを利用することが一般的です。
浄土寺は、四国三十六不動霊場の第18番札所としても知られており、巡礼者が多く訪れる場所です。前後の札所としては、17番札所の宗安禅寺から約150 km、19番札所の玉蔵院からは約24 kmの距離に位置しています。これらの札所を巡ることで、不動明王のご加護を受けるとされています。
浄土寺の御詠歌は次のように詠まれています。
ありがたや じょうどのみやま ふどうそん あくじさいなん まもらせたまう
この御詠歌は、浄土寺が悪事や災難から人々を守る霊場であることを表現しています。参拝者はこの御詠歌を唱えながら、心身の平安と守護を祈ります。
浄土寺を訪れる際には、静かで厳かな雰囲気の中で参拝することが大切です。特に本堂や水子地蔵堂では、深い感謝の気持ちを持って手を合わせることが求められます。境内は広く、自然に囲まれた清浄な空間が広がっており、ゆっくりと心を落ち着けて参拝することができます。
浄土寺は、愛媛県東温市にある歴史ある寺院であり、真言宗醍醐派の寺院として、また四国三十六不動霊場の札所として多くの信仰を集めています。創建以来、時宗から真言宗に改宗し、身代り不動明王や老楽観音などの尊像が安置され、多くの参拝者が訪れる場所となっています。心静かに参拝し、祈りを捧げることで、心身の安寧を得ることができるでしょう。