國津比古命神社は、愛媛県松山市八反地に鎮座する式内社です。古くからこの地域に根付いた信仰の中心として知られ、旧社格は県社に指定されています。神社は、全長50メートルの國津比古命神社古墳の上に位置し、神社と古墳の両方が歴史的に重要な存在です。
國津比古命神社の祭神は饒速日命(にぎはやひのみこと)です。饒速日命は、天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊(あまてるくにてるひこあめのほあかりくしたまにぎはやひのみこと)とも呼ばれ、天津神の一柱として崇敬されています。
さらに、宇麻志麻治命(うましまじのみこと)、物部阿佐利命(もののべのあさりのみこと)、誉田別命(ほんだわけのみこと)も合わせて祀られており、多くの神々がこの地を守護しています。
國津比古命神社は、隣接する櫛玉比賣命神社と対面しており、両社を総称して地元では「風早宮大氏神(かざはやのみやおおうじがみ)」と呼ばれています。これら二つの神社は、地域の歴史と文化に深く根ざした存在です。
國津比古命神社の正面入口は威厳のある造りで、参拝者を迎え入れる荘厳な雰囲気を醸し出しています。
裏参道は、神社のもう一つの入り口として、静かな参拝の道を提供します。正面とは異なる雰囲気が漂い、落ち着いた参拝が可能です。
國津比古命神社の石段は、例祭の際に行われる「神輿落とし」の舞台です。この神事は特に激しく、日本三大荒神輿の一つに数えられています。
國津比古命神社の楼門は、愛媛県の指定有形文化財に登録されており、その建築美と歴史的価値は地域の宝です。楼門をくぐると、境内の神聖な雰囲気がさらに高まります。
境内には神楽殿もあり、神事や祭礼の際に神楽が奉納される場所として使われています。神楽殿は、神社の伝統文化が継承されている象徴的な場所です。
社殿へと続く石段は、参拝者が神々との距離を縮める象徴的な道です。この石段を上がることで、参拝者は日常から神聖な領域へと移行していく感覚を味わいます。
國津比古命神社の境内には、いくつかの摂末社があります。特に重要なものとして以下の2社が挙げられます。
金刀比羅宮(ことひらぐう)は、大物主神(おおものぬしのかみ)を祭神とする神社で、航海安全や商売繁盛などのご利益があるとされています。
稲荷社は、稲荷大神(いなりおおかみ)を祀る社です。商業繁栄や農業の豊穣を祈願するために、多くの信者が参拝に訪れます。
國津比古命神社の例祭は、毎年10月の3連休の初日に「御動座祭」、2日目に「神幸祭」が行われます。この例祭は「風早火事祭(かざはやのひのことまつり)」とも呼ばれ、石段から神輿を投げるという非常に迫力ある行事が特徴です。日本三大荒神輿の一つに数えられるこの神輿投げは、観光客にも人気の高いイベントです。
前述の通り、國津比古命神社の楼門は愛媛県指定有形文化財に指定されています。この楼門は、江戸時代に建てられたもので、神社建築の美を今に伝える貴重な文化財です。楼門の保存状態も良好であり、多くの参拝者がその美しさに心を打たれます。