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八釜の甌穴群

(やかま おうけつぐん)

八釜の甌穴群は、愛媛県上浮穴郡久万高原町柳井川に位置する甌穴群で、国の特別天然記念物に指定されています。この自然の造形は、四国カルスト県立自然公園の一部でもあり、豊かな自然と共に訪れる人々にその美しさを届けています。

八釜の甌穴群の位置と概要

四国の中央に位置する自然の奇観

八釜の甌穴群は四国山地の中央部にあり、仁淀川の支流である黒川の下流部に位置しています。この地域は典型的なV字渓谷で、川の両岸には断崖が連なり、その迫力ある景観が訪れる人々を魅了します。甌穴群は、龍宮大橋から約2.7キロメートル上流の場所に広がっています。地理座標では31'33.9"N 132°59'31.2"Eに位置します。

八釜の由来

八釜の甌穴群は、その名の通り「釜」の形に似た甌穴が連なることから名付けられました。大小合わせて35個もの甌穴が黒川の川床に密接して存在し、その中でも特に大きな8つの甌穴が「八釜」として特別に呼ばれています。特に有名なのは「トンネル釜」「獅子釜」「メガネ釜」で、その規模は全国的にも非常に珍しいものです。甌穴の最大直径は9~12メートルにも及び、1952年(昭和27年)には国の天然記念物に指定されました。

自然の力で作られた甌穴の成り立ち

渦龍による自然の彫刻

八釜の甌穴群は、川幅25メートル、長さ65メートルの範囲にわたって広がっています。これらの甌穴は、川床の硬いフリント質角岩が渦龍(渦を巻く水流)の力によって長年にわたり削り取られて形成されたものです。自然が作り上げたこの見事な造形は、訪れる者に自然の偉大さと美しさを感じさせてくれます。

八釜の龍王伝説

この甌穴群には、古くから伝わる言い伝えがあります。それは「八釜の龍王さま」と呼ばれる雨を呼ぶ大蛇がこの甌穴に潜んでいるというものです。この伝説は、『柳谷村誌』第6編第6章第1節1「自然伝説」に記録されており、地元の人々にとって重要な信仰の対象ともなっています。伝説が語り継がれていることも、この地の特別な魅力の一つです。

観光客へのアクセスと注意事項

アクセス方法

八釜の甌穴群へのアクセスは、国道33号を久万高原町落出(おちで)で分岐し、国道440号に入るルートが一般的です。国道沿いには案内看板があり、そこから遊歩道を歩いて甌穴群へ向かいます。所要時間は片道約1.2キロメートルで、行き(下り)は約20分、帰り(上り)は約30分です。道中には急な坂道や水や落ち葉で滑りやすい箇所もあるため、足元には十分注意が必要です。駐車スペースはありますが、区画線はなく、乗用車であれば複数台の駐車が可能です。

遊歩道と観光の注意点

国道沿いの入口から甌穴群までは、整備された遊歩道を歩く必要があります。途中、急な坂道があるため、足元には十分注意してください。特に雨の日や秋の落ち葉が多い時期は、滑りやすくなるので慎重に歩くことが大切です。また、片道約20分の距離は、ゆったりとしたペースで自然を楽しみながら歩くのに最適です。

まとめ

八釜の甌穴群は、愛媛県の豊かな自然の中に佇む特別天然記念物です。黒川の渓谷に広がる大小35個の甌穴は、自然の力によって長い年月をかけて形成されたもので、その中でも特に大きな8つの甌穴が「八釜」として名高いものです。訪れる人々に驚きと感動を与えるこの場所は、自然の偉大さを感じることができる絶好の観光スポットです。伝説や歴史的背景と共に、この地域の豊かな自然を楽しみながら、ぜひ一度訪れてみてください。

Information

名称
八釜の甌穴群
(やかま おうけつぐん)

松山・道後温泉

愛媛県