法華寺は、愛媛県今治市桜井に所在する真言律宗の寺院であり、十一面観音菩薩を本尊とする寺院です。また、新四国曼荼羅霊場第三十七番札所としても知られています。この寺院には、長い歴史と多くの文化財があり、現在も多くの参拝者が訪れる場所です。
法の華 咲きほこりたる 補陀落の 寺に詣るは 後の世の為
法華寺の創建は、奈良時代の天平13年(741年)にさかのぼります。聖武天皇と光明皇后の勅願によって建立された伊予国の国分尼寺、すなわち「法華滅罪寺」として始まりました。この寺院の開基は南部の証繭大厄公であり、本尊は(伝)行基作の十一面観音菩薩です。伝説によれば、この本尊は光明皇后の姿を写したものだとされています。
創建当初は、華厳宗東大寺に属していましたが、平安時代の弘仁6年(815年)に空海が来訪し、真言宗に改宗したと伝えられています。その後、鎌倉時代の建治元年(1275年)、後宇多天皇の勅命により、法華寺は西日本の国分寺・国分尼寺と共に真言宗西大寺の末寺となり、現在に至るまでその教えを受け継いでいます。
法華寺はかつて非常に広大な寺院であり、境内は現在の今治市立桜井小学校からJR予讃線沿いに伊予桜井駅付近まで広がっていました。しかし、治承・寿永の乱、南北朝の戦い、豊臣秀吉の四国攻めという三度の戦乱により、ほとんどの建物が焼失してしまいました。
その後、江戸時代の寛永2年(1625年)に、現在の高台に再建されました。全国にある国分尼寺のほとんどが跡地のみとなっている中、法華寺は現在も寺院として存立しており、法灯を守り続けています。
法華寺の山門は、歴史的な雰囲気を感じさせる厳かな入口で、参拝者を迎え入れます。
法華寺の本堂には、本尊である十一面観音菩薩が安置されており、ここで多くの参拝者が祈りを捧げます。
大師堂は、弘法大師空海を祀るための堂宇であり、真言宗に改宗した歴史を象徴しています。
瑜伽大権現堂は、瑜伽大権現を祀るための堂宇で、参拝者に霊験を与える場所として信仰を集めています。
法華寺の境内には、伊予府中十三仏霊場の第10番札所として知られる阿弥陀如来の石像があります。
鐘楼は2014年1月18日に落慶した建物で、参拝者はここで鐘をつき、心を清めることができます。
法華寺には、約30台の駐車スペースが用意されており、参拝者が安心して車で訪れることができます。
法華寺には、愛媛県指定史跡「国分尼寺塔跡」が残されています。方形の敷地に6個の巨大な花崗岩の自然石が約2メートルの間隔で並び、赤土と石灰土を用いて礎石を据えたもので、古代の建築技術の一端を伺うことができます。塔跡は山門下のJR踏切を線路に沿って上り方向へ約500メートル行った場所にあり、見学することが可能です。昭和31年11月3日に指定されました。
法華寺には、今治市指定有形文化財「木造阿弥陀仏坐像」があります。この坐像は、昭和50年9月2日に指定され、寺院の歴史的価値を物語る貴重な文化財です。