耳なれない「せんざんき」という名前だが、愛媛県東部の今治市周辺の郷土料理で、今では全国的に定番のひと品となっている「鶏の唐揚げ」の原点といわれている。鶏のいろいろな部位の骨付き肉を使った揚げ物料理で、鶏肉に下味をつけてカラッと揚げ、口に含むとジューシーな味わいが広がる。名前の由来は、「鶏を丸ごと小さく、千に斬ることから」「千さんがはじめたキジの料理」などの説があり、江戸時代、近見山のキジを捕獲し揚げ物にしたことが始まりといわれ、今治藩の時代から食べられていたとも言われるが文献史料はなく定かではない。現在では鶏肉が用いられている。ちなみに北海道でも唐揚げを「ざんぎ」と呼ぶが、これは中国人の料理人が伝えたものだそうだ。
一般的な調理方法は、醤油、料理酒、しょうが、にんにくをすりおろした漬け汁に骨付き肉を漬け込んで下味を付けます。揚げ粉は片栗粉で卵を加え、よくもみ込んでから油でこんがりと揚げます。下味の調味料は好みでみりんや砂糖を加えることもあります。骨ごと揚げることで、骨から出た旨味と事前につけた下味が加熱でよくしみ込み、カリッと揚がった食感と濃厚な味付けが支持されています。
「千斬切り」は、東予地方(主に今治市周辺)で愛される鶏料理の一つです。この料理は、鶏の様々な部位の骨付き肉を使った揚げ物で、江戸時代に近見山でキジを捕まえ、揚げ物にしたのが始まりとされています。約300年前の出来事であり、詳細は文献に残っていませんが、現在では鶏肉を用いています。名前の由来は、鶏を千切りにすることからきており、「千斬切り」と呼ばれるようになりました。他にも、中国語の発音に由来する「軟炸鶏(エンザーチ)」や「清炸鶏(チンザーチ)」という説もあります。
骨付きのまま揚げることで、骨から出た旨味と下味がよく染み込み、カリッと揚がった食感と濃厚な味わいが特徴です。今治地域では、戦後すぐに「千斬切り」の店が繁盛し、その店には長い行列ができたといいます。この頃から「千斬切り」が今治地域に広まりました。
「千斬切り」は祝いの席などの特別な行事で必ず食卓に並びます。親戚や友人が集まる機会から、子どものイベントや日常の食事まで、様々な場面で楽しまれています。
調理方法は、若鶏の骨付き肉を一口大に切り、薄口醤油、酒、しょうが汁、こしょうを混ぜたものに漬け込んでから揚げます。片栗粉をまぶして中温の揚げ油で揚げ、骨付きのまま提供されます。
主な伝承地域:東予地方
主な使用食材:若鶏(骨付き)