瓢箪島は、瀬戸内海に浮かぶ無人島で、広島県と愛媛県の県境に位置しています。この島は、国の登録記念物として認定されており、その形状や歴史に関して非常に興味深いエピソードが残されています。
瓢箪島は、広島県尾道市と愛媛県今治市にまたがる形で存在しています。かつては「黒島(くろしま)」と呼ばれており、伊能忠敬の『日本實測録』には「黒島、〈又呼瓢簟島〉」と記されていました。しかし、現在の地形図では「瓢箪島」という名称が正式に使われており、この名前は1965年以降の地形図から確認されています。
瓢箪島は、広島県の生口島と愛媛県の大三島の中間に位置し、島のほぼ中央を東西に県境が横切っています。島の北半分は広島県尾道市瀬戸田町垂水に、南半分は愛媛県今治市上浦町井口に属しています。島の周囲は約700メートルあり、最高峰は南側の丘で35.2メートル(標高34.9メートルの三等三角点)です。北側の丘は23.4メートルで、島の中央付近がひょうたんのようにくびれているのが特徴です。
瓢箪島は無人島であるため、島に直接渡る交通手段はありませんが、周辺からその景観を楽しむことができます。以下は、島を眺望できるポイントです。
生口島の瀬戸田サンセットビーチは、島を撮影するのに絶好のポイントです。また、垂水港からは観光遊覧船も出ており、海上から島を眺めることができます。
愛媛県大三島の井ノ口港(上浦港)からも瓢箪島を見ることができます。特に、大三島インターチェンジを降りて海岸線を北に4キロメートルほど進むと、島のひょうたん形がはっきりと見える休憩所「潮彩の音 泊休憩所」が設置されており、ここは撮影スポットとしても人気があります。
しまなみ海道の多々羅大橋からも瓢箪島を眺めることができますが、南側からの視点になるため、ひょうたん形はわかりにくいかもしれません。
瓢箪島にまつわる歴史は古く、民話によるとこの周辺は古くから良質な漁場として知られていました。そのため、権利をめぐる紛争が絶えなかったと言われています。島がひょうたん形になったのも、地元の人々が島の権利を争い、両方の島の神々が綱引きを行った結果、島が現在のような形になったという伝説があります。島の中央がくびれてしまったのを見た島民たちは、神々に和解を求め、最終的に島はひょうたんのような形に落ち着いたということです。
また、このような境界紛争はその後も続き、たびたび調査が行われました。現在でも、明治時代に建立された境界石が残っており、当時の境界を示しています。生口島垂水地区には、この小島にまつわる舟歌が伝わっており、地域の文化として受け継がれています。
1964年から放送された人形劇『ひょっこりひょうたん島』は、当時大変な人気を博しました。この作品の舞台となった島が、瓢箪島ではないかと注目されることもありました。1989年には、高根島の船大工が瓢箪島の模型を制作し、垂水地区の住民が『ひょっこりひょうたん島』のキャラクターに扮して、ひろしまフラワーフェスティバルのパレードに参加するなど、地域の文化イベントとしても親しまれています。
瓢箪島は、その歴史的・文化的な価値が認められ、2013年3月27日に国の登録記念物(名勝地)に登録されました。これにより、島は自然景観や歴史的背景を保護し、後世に伝えるべき貴重な遺産として位置付けられています。
瓢箪島は、広島県と愛媛県の県境に位置し、その独特なひょうたん形の地形や、歴史的なエピソードから多くの人々の関心を集めています。無人島ではありますが、周囲から眺めることができるため、観光名所としても訪れる価値があります。今後も、自然と文化を大切にしながら、多くの人々にその魅力を伝えていくことが期待されています。