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向雲寺

(こううんじ)

向雲寺は、愛媛県今治市上浦町に位置する曹洞宗の寺院です。大三島の東側にある高台に建てられており、美しい風景が広がる風光明媚な場所として知られています。本尊は千手観世音菩薩であり、せとうち七福神霊場の第5番として福禄寿(ふくろくじゅ)が祀られています。

寺院の歴史と背景

向雲寺は、その起源を推古天皇2年(594年)にまでさかのぼります。当時、瀬戸内海に鎮座する大山積神を奉祀したのが始まりとされています。永観2年(984年)には、性空上人によって法華経が伝えられ、大山積神社の本地仏として大通智勝仏が祀られるようになりました。大山積神社には十六の方向に末社があり、それぞれが法華経の十六王子に対応しているとされています。その中でも、16番目の王子は釈迦であり、向雲寺の台座には「第十六娑婆教主釈迦牟尼佛」と刻まれています。

境内の見どころ

山門

山門の左右には、不動明王立像と毘沙門天立像が鎮座しており、訪れる者を迎え入れます。

本堂

本堂は、寺院の中心であり、参拝者が手を合わせ祈りを捧げる場所です。厳かな雰囲気の中で、千手観世音菩薩に心を寄せることができます。

大師祠

本堂の外の左端に位置し、大三島西国第24番札所となっています。祠には「はなくれの みはならぬせと しのぎきて のりのおしゑに うつるみたらし」といった歌が伝わり、訪れる人々に静寂な祈りの場を提供しています。

横殿大明神本地堂(大通庵)

南北朝時代に作られたとされる大通智勝如来坐像が祀られ、その両脇には十六王子立像が並んでいます。また、近くの海岸には横殿社があり、本地仏とされています。大通智勝如来の特徴として、手が衣の下に納められている点が挙げられます。

鐘楼

鐘楼は、寺院の象徴として、訪れる人々の心を打ち、時を告げる役割を果たしています。

福禄寿石像と十二支地蔵石像

平成10年に建立された福禄寿石像と十二支地蔵石像は、向雲寺を訪れる人々の守り神として親しまれています。

中門

中門をくぐると、向雲寺の静寂で厳かな雰囲気に包まれます。石畳の道を歩きながら、心を清めることができます。

下見吉十郎顕彰碑石板とブロンズ像

下見吉十郎(1673年-1755年)は甘藷(さつまいも)の普及に尽力した人物として知られ、その功績を称えるために建立された石板とブロンズ像が境内にあります。

甘藷地蔵堂(いもじぞうどう)

甘藷地蔵堂は、拝堂と奥堂の二つの構造から成り、境内西隣の墓苑の最も高い場所に位置しています。甘藷伝来の功労者である下見吉十郎を祀るこの地蔵堂は、訪れる人々の敬意を集めています。

文化財と見どころ

愛媛県指定史跡:甘藷地蔵

甘藷地蔵は、甘藷伝来に尽力した下見吉十郎を祀るために建てられたもので、高さ約0.5mの普通の石地蔵です。台石の左面には、下見吉十郎の名前が刻まれており、その偉大な功績を今に伝えています。

横殿大明神本地堂の文化財

南北朝時代に作られたとされる大通智勝如来坐像や十六王子立像は、横殿大明神本地堂に祀られています。これらの文化財は、長い歴史と信仰の対象として、訪れる人々に深い感銘を与えています。

アクセスと駐車場

向雲寺は、今治市の上浦町に位置しており、アクセスも比較的良好です。車で訪れる場合は、境内の手前に数台分の駐車場が用意されていますので、安心して参拝できます。

まとめ

向雲寺は、その歴史や文化財、そして自然に囲まれた風光明媚な環境が特徴です。参拝者にとっては、心を静め、歴史に思いを馳せることができる場所です。せとうち七福神霊場の一つとして、多くの人々が訪れるこの寺院は、地域の信仰の中心であり続けています。

Information

名称
向雲寺
(こううんじ)

今治

愛媛県