弓削島は、愛媛県北東部に位置する上島町に属する離島です。温暖な気候に恵まれ、豊かな自然と歴史を持つこの島は、訪れる人々に静かな時間と美しい風景を提供してくれます。
弓削島は、愛媛県と広島県の県境に位置する芸予諸島の一部であり、上島諸島として知られています。人口は多く、島全体が地域の中心的な役割を果たしています。燧灘と備後灘に面し、島は南北に細長く、中央部に集落や公共施設が集まっています。
弓削島は、北側に比較的高い山々が広がり、最高点は三山(325m)です。他にも、古法皇山(279m)や石灰山(219m)といった山々が特徴的で、特に石灰山は島のランドマークとして知られています。南側は丘陵地が広がり、最高点は久司山の142mです。松原海岸や法王ヶ原といった美しい砂浜もあり、瀬戸内海国立公園の一部として保護されています。
弓削島の名前の由来については諸説ありますが、最も有力な説は「弓を削る」ことに由来するとされています。弓削部(ゆげべ)と呼ばれる職業集団が存在し、島がその拠点の一つであった可能性があります。他にも、弓削道鏡や弓削玄賓といった歴史的な人物が関わっているとする説もあります。
弓削島の歴史は古墳時代まで遡ります。島の久司山には古墳が存在し、地域の歴史的遺産として重要視されています。
平安時代末期には弓削島は荘園としての形が成立し、鳥羽院や後白河法皇の荘園として管理されていました。特に塩の生産が盛んであり、島は「塩の荘園」として広く知られていました。1981年には、当時皇太子であった徳仁親王(現在の天皇)が島を訪れ、中世の荘園制度について研究を深めています。
古代から製塩が盛んであった弓削島ですが、江戸時代には今治藩の海駅として発展しました。明治時代には、海員学校が設立され、多くの船員を輩出する海運の中心地となりました。現在でも、島の主要産業は農業と漁業で、柑橘類の栽培や漁業が島の経済を支えています。
松原海水浴場は、環境省が選定する「快水浴場百選」にも認定された美しいビーチです。瀬戸内海国立公園内に位置し、法王ヶ原と呼ばれる松林やキャンプ場も併設されています。夏の海水浴シーズンには、多くの観光客で賑わいます。
弓削島と隣接する佐島を結ぶ弓削大橋は、島のランドマーク的存在です。橋の上からは、美しい瀬戸内海の景色を一望でき、ドライブやサイクリングにも最適です。
弓削島の歴史を感じることができる久司山古墳群は、展望台も併設されており、島全体を見渡せる絶好のスポットです。晴れた日には、遠くまで続く海の景色が楽しめます。
ゆげトピアは、島の中心に位置する複合施設で、観光案内や地域の特産品が販売されています。観光の拠点として便利な施設です。
春になると、弓削島では桜が咲き誇ります。特に大谷桜園は、地元の人々にも人気の花見スポットで、桜の美しさに癒されるひとときを過ごせます。
潮湯は、海水を利用した温泉施設で、海を見ながらリラックスできる人気のスポットです。温暖な気候と美しい風景が相まって、日々の疲れを癒すのに最適です。
弓削島では、古くから製塩が行われてきました。特に「弓削塩」はその伝統を守りながら作られており、料理に深い旨みを加えると評判です。また、「弓削海苔」や柑橘類の「八朔(はっさく)」も特産品として有名です。これらの特産品は島内の販売所やお土産店で購入することができます。
毎年ゴールデンウィークに開催される「おさかな朝市」は、地元漁協主催のイベントです。新鮮な魚介類が並び、観光客や地元の人々で賑わいます。
8月の第1土曜日に開催される「かみじまふるさと夜市」では、ステージイベントや打ち上げ花火が行われ、夏の夜を楽しむことができます。地元の特産品や屋台も充実しており、家族連れにも人気のイベントです。
弓削島へのアクセスは、広島県因島や愛媛県今治市からの定期フェリーや快速船を利用します。主要な航路としては、上島町営フェリーや芸予汽船が運航しており、弓削港を拠点に他の島々とのアクセスも良好です。また、かつて運航されていた弓削汽船の航路は、現在は廃止されていますが、他の航路が充実しているため問題なく島に到着できます。
弓削島内の交通は、上島町有バスが運行しており、観光スポットや港への移動が便利です。
弓削島は、自然豊かな風景と歴史、そして地域特有の文化が織りなす魅力的な観光地です。松原海水浴場や久司山古墳群などの名所を巡りながら、地元の特産品やイベントを楽しむことで、島でのひとときを満喫することができるでしょう。また、愛媛県と広島県の県境に位置しているため、アクセスも良好で、瀬戸内海の美しい景色と共にゆったりとした時間を過ごすことができます。