芸予要塞（旧字体：藝豫要塞）は、大日本帝国陸軍が瀬戸内海の忠海海峡と来島海峡を防衛するために設置した要塞です。この要塞は、1897年（明治30年）3月に建設が開始され、瀬戸内海への敵艦船の侵入を阻止するための重要な防衛拠点となりました。紀淡海峡・鳴門海峡・豊予海峡・下関海峡といった各地に要塞砲台の設置が検討されていましたが、豊予海峡のみが当時の要塞砲の最大射程を超える幅であったため、芸予要塞が建設されることになりました。
芸予要塞の設置計画は、1873年に陸軍雇教師であったフランス軍のマルクリー中佐による海岸防禦法案の提出から始まりました。その後、多くの検討を重ねた結果、1897年6月に6か所に砲台を設置する最終案が決定されました。芸予要塞の防衛線は、瀬戸内海の忠海海峡と来島海峡を結ぶラインに位置し、敵艦の侵入を効果的に阻止するための要として機能しました。
砲台の建設は、1897年3月に大久野島北部砲台から開始され、1902年2月までにすべての砲台が竣工しました。これにより、瀬戸内海への防衛体制が整い、海上防衛の強化が図られました。主な砲台としては、大久野島北部砲台、大久野島中部砲台、大久野島南部砲台、来島北部砲台、来島中部砲台、来島南部砲台の6つがあります。
芸予要塞は、その後の情勢の変化や豊予要塞の建設が決定されたことにより、1924年（大正13年）12月に廃止されました。存在意義を失った要塞は、役割を終え、その歴史に幕を閉じることとなりました。
芸予要塞の歴史を以下の年表にまとめました。
芸予要塞には、以下の砲台が主要な施設として存在していました。