亀老山は、愛媛県今治市の大島南部に位置し、瀬戸内海のほぼ中央にある標高307.8メートルの山です。別名として「大亀山(おおきやま)」、「隅ヶ岳」とも呼ばれ、古くから親しまれてきました。
この山は双耳峰(そうじほう)を形成しており、2つの山頂を持ち、南側の本峰に三角点(標高301.1メートル)があり、もう1つの北西の峰は標高271メートルです。山頂一帯は現在、亀老山展望公園として整備されています。
亀老山の名の由来は約1300年前に遡ります。当時、旅の僧がこの島の海岸沿いの洞窟で、黄金の観音像を背負った大亀と出会い、その観音像を本尊とする伽藍を山頂に建立して崇拝したことから、「亀老山」と呼ばれるようになったと伝えられています。これにより、亀老山は古くから信仰の対象として人々に親しまれてきました。
亀老山周辺では古代からの海上交通の要衝であったことが窺える弥生土器が数多く出土しています。また、中腹には鎌倉時代後期の様式を持つ宝篋印塔があり、これは村上義弘の墓であると伝えられています。このように、亀老山は歴史的にも重要な場所であり、古代から多くの人々の往来や信仰の場となってきました。
1994年には亀老山の山頂に展望台が設置されました。当時の町役場の依頼により、建築家の隈研吾氏が景観を損なわない「負ける建築」をコンセプトに設計しました。もともと平坦であった山を再び盛り土し、周囲の自然に溶け込むように埋め込まれた形で展望台が建設されました。この展望台からは、西および北には来島海峡や芸予諸島の美しい島々を、東には燧灘(ひうちなだ)を、そして南には今治港や今治市街を一望することができます。
1999年の瀬戸内しまなみ海道の開通に伴い、亀老山へのアクセスも大きく改善されました。以前は山頂までの道路が狭かったため、訪れるのが難しい場所でしたが、観光地としての整備が進み、道路が改良され、山頂近くには無料駐車場も設置されました。普通車18台、大型車6台を収容できる駐車場と、土産物や飲み物の店舗も整備され、観光客が快適に訪れることができる環境が整いました。
亀老山は瀬戸内海国立公園の一部にも含まれており、その美しい自然景観は多くの人々を魅了しています。特に、来島海峡を眼下に望む夕日の眺望は絶景で、観光PR写真などにもよく使用されています。このように、亀老山は瀬戸内海の美しい風景を楽しむための絶好のスポットとなっています。
2017年3月8日には、亀老山から望む来島海峡の景色が「四国八十八景」の第1期22ヶ所の一つに選定されました。さらに、トリップアドバイザーの「行ってみてよかった!日本の展望スポット2017」において、第2位に選ばれ、その美しい景観が高く評価されています。(なお、第1位は京都の清水寺、第3位は東京都庁舎です。)このように、亀老山は国内外から多くの観光客に愛される観光名所となっています。
亀老山の展望台からは、来島海峡大橋や燧灘、そして石鎚山脈を望むことができます。特に、晴れた日には瀬戸内海の島々や遠くの山々まで見渡せるため、多くの写真愛好家や観光客が訪れ、その美しい景色を楽しんでいます。
亀老山展望台からは、瀬戸内海の名所である来島海峡大橋を一望できます。大島と四国を結ぶこの壮大な橋は、来島海峡第一大橋、来島海峡第二大橋、来島海峡第三大橋から成り、本州四国連絡橋の尾道・今治ルートを構成しています。また、東側には燧灘が広がり、その向こうには石鎚山脈が連なり、美しい自然の景観を楽しむことができます。
亀老山を訪れる際には、ぜひ展望台からの景色を楽しんでください。特に、夕方の時間帯には瀬戸内の夕日が海と島々を美しく照らし出し、ロマンチックな雰囲気を醸し出します。また、展望台周辺には散策路も整備されているため、ゆったりと自然を感じながら歩くこともできます。さらに、近くには土産物や飲み物を販売している店舗もあり、地元の特産品を購入することもできます。
亀老山からの夜景もまた魅力的です。今治市街の明かりや来島海峡大橋のライトアップが美しく輝き、幻想的な風景を楽しむことができます。展望台は24時間開放されているため、昼夜問わず美しい景色を堪能できます。
亀老山は、歴史的な背景や美しい自然景観を持つ魅力的な観光地です。展望台からの眺望は絶景であり、特に夕日や夜景は訪れる人々の心を癒してくれます。アクセスも良好で、無料駐車場や土産物店も完備されているため、気軽に訪れることができます。ぜひ一度、亀老山を訪れ、その美しい景色と歴史に触れてみてはいかがでしょうか。