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別子ライン

(べっし)

別子ラインは、愛媛県新居浜市に位置し、国領川の上流部に沿って約10kmにわたる渓谷を指します。このエリアは自然の美しさと歴史的な価値を兼ね備えた景勝地として知られており、四季折々の風景を楽しむことができます。別子ラインは、生子橋(しょうじばし)から始まり、マイントピア別子、鹿森ダム、遠登志渓谷(おとしけいこく)、清滝周辺、そして河又に至るまでのエリアを含みます。

国領川の流れと別子ラインの成り立ち

国領川は四国山地の笹ヶ峰を源流とし、5つの支流を合わせて瀬戸内海に注ぐ二級河川で、全長は約44km、流域面積は73.1平方キロメートルに及びます。河口から生子橋のあたりまでは「国領川」と呼ばれ、その上流は「足谷川(あしたにがわ)」と名を変えます。別子ラインはこの足谷川の約10kmの区間にあたり、さらに上流の河又付近で支流に分かれると、土山谷川や本谷川、西鈴尾谷川などの名称に変わります。

この名称は、戦後に地元の人々がヨーロッパのライン川にあやかって命名したものであり、愛媛県道47号新居浜別子山線の名称とは異なり、主に河川を中心とした一帯を指します。1955年(昭和30年)11月4日には愛媛県の名勝に指定され、1958年(昭和33年)には新日本百景に選ばれるなど、その美しさと歴史的価値が認められています。

別子ラインの主要な見どころ

生子橋(しょうじばし)

別子ラインの玄関口である生子橋は、現在の橋が1983年(昭和58年)に歩行者用として架けられました。このあたりは河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)によって「臥竜峡(がりゅうきょう)」と命名され、美しい渓谷美が広がります。橋の周辺には遊歩道も整備され、季節ごとの風景を楽しむことができます。

マイントピア別子

マイントピア別子は、別子銅山の歴史を紹介するテーマパークで、訪れる人々に鉱山の歴史や文化を伝えています。ここでは、足立川に架かる打除鉄橋を「別子1号」と呼ばれるトロッコ列車に乗って渡ることができ、家族連れや歴史愛好者に人気のスポットです。また、周辺には観光施設や温泉もあり、休憩や食事を楽しむことができます。

旧端出場水力発電所(登録有形文化財)

1912年(明治45年)に建設された旧端出場水力発電所は、当初有効落差596m、出力3000kWを誇る施設でした。その後、1923年(大正12年)には4500kWに増強され、1970年(昭和45年)に廃止されました。現在は赤レンガ造りの建物が保存されており、2023年3月28日より内部が一般公開されています。この歴史的建造物は、産業遺産として訪れる人々に過去の繁栄を伝えています。

鹿森ダムと別子の湖

鹿森ダムは別子ラインの中心的な存在で、そのダム湖は「別子の湖」として知られています。ダム周辺には遊歩道が整備されており、湖面を臨みながらのんびりと散策を楽しむことができます。また、湖畔には展望台やベンチが設置されており、四季折々の風景を楽しむことができる憩いの場となっています。

遠登志渓谷(おとしけいこく)

遠登志渓谷は、かつて「落とし」と呼ばれたことからその名が付けられた渓谷で、鹿森ダムから約200m上流に位置し、支流の小女郎川(こじょろがわ)が流れ込んでいます。ここには川沿いに遊歩道が整備されており、約200mの道を進むと、遠登志橋という鋼鉄製吊り橋が見えてきます。この橋は、1905年(明治38年)に東平への生活道として作られた鋼アーチ橋の上に架けられており、渓谷の美しい風景を楽しむことができます。

清滝(きよたき)

清滝は別子ラインを代表する景勝地の一つで、清滝トンネルの南口から旧道を約0.5km歩いた先に位置します。赤い吊り橋・清姫橋を渡ってしばらく登って行くと、滝を下から臨むことができる展望所にたどり着きます。さらに登って行くと、不動明王を祀る仏堂があり、その脇から上がると滝行ができる場所に至ります。清滝の落差は約60mと言われていますが、水量が少なく、時には途中で水が途絶えることもあります。

2006年(平成18年)5月1日に、清姫橋南側の市道で落石が発生し、一部のルートが通行止めとなったため、現在も注意が必要です。

東平(とうなる)

別子ラインの終点に近い時雨橋から左へ分岐し、標高750m付近の山道を約5km進むと、かつて別子銅山の採掘本部が置かれていた東平に到達します。東平は、かつての鉱山の繁栄を伝える遺構が数多く残されており、歴史散策やハイキングを楽しむことができます。また、ここからさらに直進し、大永山トンネルを抜けると、別子ダムを越えた先に別子銅山発祥の地である旧別子への登山口があります。

別子ラインを訪れる際の注意点

安全に楽しむためのアドバイス

別子ラインは、自然の美しさを楽しむことができる一方で、山間部のため、天候や季節に応じた準備が必要です。特に、秋から冬にかけては気温が低くなり、雪が積もることもあるため、暖かい服装や滑りにくい靴を用意しましょう。また、雨天時には道路が滑りやすくなるため、足元に注意し、山道の通行に不安がある場合は無理をせずに引き返すことをおすすめします。

アクセス情報

別子ラインへは、愛媛県新居浜市から国道11号線を経由し、愛媛県道47号新居浜別子山線を進むことでアクセスできます。自動車での訪問が一般的ですが、公共交通機関を利用する場合は、新居浜駅からバスでマイントピア別子まで行き、そこから徒歩やタクシーで各地を巡ることができます。道路の一部は狭いため、運転には十分な注意が必要です。

まとめ

別子ラインは、愛媛県新居浜市の自然と歴史が融合した魅力的なエリアです。生子橋やマイントピア別子、清滝などの見どころを巡りながら、別子銅山の歴史を感じ、四季折々の風景を楽しむことができます。訪れる際には、安全に留意しながら、自然と歴史の魅力を存分に堪能してください。

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名称
別子ライン
(べっし)

新居浜・西条・石鎚山

愛媛県