愛媛県 » 新居浜・西条・石鎚山

明正寺

(みょうしょうじ)

明正寺は、愛媛県新居浜市黒島に位置する真言宗善通寺派の寺院です。山号は龍宝山と称し、本尊は聖観音菩薩をお祀りしています。この寺院は、新四国曼荼羅霊場の第二十九番札所として知られ、信仰を集めるとともに、明正寺の名前を冠した「ミョウショウジザクラ」の原木も有名です。

歴史と由来

明正寺の歴史は古く、今から1200年前に遡ります。斉明天皇と大田姫(大海人皇子の妃)が九州行幸の途中、黒島沖で大田姫が産気づき、この地に上陸されました。黒島神社に安産祈願をした後、無事に皇女を出産されたことから、この地には安産のご利益があるとされています。その約60年後、越智氏によって西法寺が当地に建立され、黒島神社と共に安産祈願の寺として広く知られるようになりました。

その後、1643年(寛永20年)、高野山龍光院を通じて明正天皇の病気平癒祈願の祈祷を行うよう命じられ、これを契機に寺名が「明正寺」と改められました。さらに、1808年(文化5年)の大火により全山が焼失するも、明正天皇の尊儀(位牌)や本尊、数点の寺宝が持ち出され、寺の信仰は途絶えることなく続いています。

伽藍の紹介

山門

寺院の入り口には荘厳な山門があり、訪れる人々を迎えます。この山門をくぐると、寺院の本堂や薬師堂など、歴史と伝統が感じられる伽藍が広がります。

本堂

本堂には本尊の聖観音菩薩が祀られており、訪れる人々の祈りを受け止めてきました。明正天皇の病気平癒祈願のために建立された歴史を持つこの本堂は、寺の中心的な役割を果たしています。

薬師堂

1997年(平成9年)11月22日に落慶した薬師堂は、目引き薬師と呼ばれる画像が本尊として祀られています。さらに、黒島地蔵堂本尊や黒島毘沙門堂本尊も同じく安置され、地域住民や参拝者の信仰を集めています。

鐘楼

寺院の一角にある鐘楼は、寺の歴史を物語る重要な建造物です。鐘を撞くことで煩悩を払うとされ、多くの人々が祈りを込めて鐘を鳴らします。

文化財

明正寺には多くの文化財が所蔵されており、愛媛県や新居浜市の指定文化財として大切に保管されています。以下にその主な文化財を紹介します。

県指定有形文化財

新居浜市指定有形文化財

新居浜市指定史跡

新居浜市指定天然記念物

行事と参拝

明正寺では、年間を通じてさまざまな行事が行われています。春と秋には特別公開が行われ、本堂や庭園を訪れることができます。さらに、薬師堂の薬師如来への祈願や、安産祈願の法要など、多くの参拝者が訪れます。また、文化財の見学や抹茶の接待もあり、歴史と文化を肌で感じることができる場となっています。

新四国曼荼羅霊場の札所

明正寺は、新四国曼荼羅霊場の第二十九番札所であり、四国各地から訪れる巡礼者にとって重要な札所の一つです。前後の札所である三福寺(第二十八番)や萩生寺(第三十番)と共に、多くの参拝者が巡礼の道を歩んでいます。新四国曼荼羅霊場は、四国4県の7つの神社と81の寺院で構成される神仏合体の霊場であり、特に弘法大師空海にゆかりの深い場所として信仰されています。

まとめ

明正寺は、長い歴史と豊かな文化財を持つ寺院であり、地域の人々や参拝者に愛され続けています。安産祈願の寺としての信仰はもちろん、新四国曼荼羅霊場の札所としても多くの巡礼者が訪れます。文化財の保護と寺院の活動を通じて、これからも多くの人々に信仰と文化を伝え続けていくことでしょう。春にはミョウショウジザクラの美しい花が咲き誇り、訪れる人々の心を癒してくれます。ぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
明正寺
(みょうしょうじ)

新居浜・西条・石鎚山

愛媛県