極楽寺は、愛媛県西条市大保木に位置する石鎚山真言宗の総本山です。山号は九品山、本尊は阿弥陀三尊と石鎚蔵王大権現で、石鎚山信仰の根本道場として知られています。極楽寺は約1300年前から続く山岳宗教の修験道場でもあり、多くの信仰を集めています。
本尊真言:オン・アボギヤ・バダラヤ・ソワカ
ご詠歌:石鎚の 峰にのぼれば 極楽の 祈り祈らん 九品の浄土
童子名:佛守護童子
納経印:四国八十八箇所番外、四国36不動霊場、新四国曼荼羅霊場、石鎚山法起坊、四国(東予)七福神・福禄寿
極楽寺の歴史は古く、寺伝によると西暦680年頃、役行者(えんのぎょうじゃ)が石鎚山を仰ぎ見ることのできる龍王山に籠もり、不動ヶ滝で身を清め修行を行い、阿弥陀三尊と三体の石鎚権現を本尊とする天河寺(てんがじ)を創建したとされています。平安時代から室町時代にかけて隆盛を極めましたが、1350年、戦乱により天河寺は焼失しました。
その後、宥法師が天河寺の法灯を守るため現在の極楽寺を建設し、寺は再興されました。天河寺の焼け跡から掘り出された「金剛蔵王権現」が極楽寺の蔵王殿の本尊として祀られ、現在も護摩焚きが朝夕行われています。2014年には失われていた両脇尊「龍王吼(りゅうおうく)蔵王権現」「無畏宝吼(むいほうく)蔵王権現」が新調され、三体の石鎚蔵王権現が揃いました。
極楽寺の本坊エリアには以下の建物があります:
別院エリアには以下の建物が存在します:
法起坊堂は石鎚山麓の西之川下谷に位置し、701年に役行者が大阪の箕面で昇天した後、石鎚山に戻り「石鎚山法起坊大天狗」としてこの地を守護したとされています。現在でもこの伝説を基に、法起坊を祀る堂があります。
毎年2月3日(節分)と5月3日(春山大祭)には「紫灯大護摩」と呼ばれる大護摩供と、火渡りの儀式が行われます。火の上を渡ることで厄除けや開運を祈願します。
8月12日には、お盆の時期に「万灯供養会」が行われ、数千の灯籠が吊り下げられ幻想的な光景が広がります。
8月最終日曜日には、龍王山での登拝修行が行われ、不動ヶ滝で身を清めた後、山頂で護摩焚きが行われます。
12月の冬至の夜には、100人近くの老若男女が加茂川に浸かる「水行」が行われます。川の冷たい水に約20分間浸かり、柴灯護摩の火で暖を取りながら権現像で加持を受けます。予約なしで誰でも参加可能です。
極楽寺は新四国曼荼羅霊場の32番札所として知られています。前後の札所は以下の通りです:
また、極楽寺は四国三十六不動尊霊場の23番札所でもあります。前後の札所は以下の通りです:
奥の院として知られる天河寺は、かつて龍王山の標高840m付近にあった寺院で、役行者によって創建されました。寺名は「天上銀河」に由来し、天河に近いという意味があります。しかし、1350年に兵火により全焼し、再建されることはありませんでした。
かつて天河寺の塔中寺院がいくつか存在し、麓の光昌寺から坂中寺を経て天河寺へ参拝することが一般的でした。
光昌寺の本尊である「木造十一面観音坐像」は、西条市指定の有形文化財として昭和61年3月7日に指定されました。