愛媛県 » 新居浜・西条・石鎚山

日暮 別邸 記念館

(ひぐらし べってい きねんかん)

日暮別邸記念館は、愛媛県新居浜市王子町の通称・星越山に位置する洋館型の記念館です。この建物は、かつて瀬戸内海に浮かぶ四阪島にあった旧日暮別邸を移築したもので、四阪島を遠く望むことができる四国側の選鉱場があった星越山に移されています。

日暮別邸の歴史的背景

住友家と別子銅山の煙害問題

住友家は、別子銅山での銅製錬に伴う煙害問題に直面していました。1888年(明治21年)に惣開製錬所が操業を開始しましたが、煙害問題を解決するため、1905年(明治38年)に製錬拠点を四阪島に移し、本格的な操業を開始しました。

日暮別邸の建設とその役割

翌1906年(明治39年)、住友家第15代当主の住友友純は、迎賓洋館として四阪島の製錬所を見渡せる高い場所に日暮別邸を建設しました。設計は野口孫市によるもので、これは住友友純が煙害克服に強い関心を寄せていたことを示しています。当時、製錬所の技師たちは日暮別邸で煙害を解決するための構想を練り、その努力から「日暮別邸」と名付けられるようになりました。1939年(昭和14年)には、ついに煙害問題は完全に解決されたとされています。

四阪島の閉鎖と日暮別邸の移築

1973年(昭和48年)に別子銅山が閉山し、四阪島も鉱業以外の事業へシフトしたため、1988年(昭和63年)に四阪島は無人島となりました。それ以降、四阪島には住友関係の工場施設のみが残り、一般の人々は上陸することができなくなりました。日暮別邸も沖合いから遠く眺めることしかできず、建築から110年以上が経過する中で老朽化が進んでいました。

日暮別邸記念館の再生と公開

日暮別邸の移築と再現

老朽化の進行を受けて、住友金属鉱山を筆頭とする住友グループ20社により、星越山へ日暮別邸を移築することが決定されました。2016年(平成28年)4月から2年半の期間をかけて、地下室と昭和12年に増築された和館部分を除く洋館部分を移築し、内部部材は95%の移設割合で再現されました。最新の建築技術を用いて、現在の建築基準法にも適合する形で復元されました。

記念館としての一般公開

2018年(平成30年)11月1日より、「日暮別邸記念館」として一般公開が始まりました。公開当初から多くの人々が訪れ、その歴史的な価値と美しい建物を楽しんでいます。

館内の見どころ

1階の施設

玄関ホール:広々とした玄関ホールは、訪れる人々を迎えるための空間です。
応接室:訪問者との会談や歓談の場として使用されています。
食堂:当時の豪華な食事会の様子を想像させる内装が施されています。
サンルーム:自然光が差し込む明るい空間で、リラックスした時間を過ごすことができます。
事務室:当時の管理業務が行われていた場所です。
トイレ:当時の施設を再現したトイレも見どころの一つです。

2階の展示室

ホール(住友の歴史と事業精神):住友家の歴史や事業精神についての展示が行われています。
第一展示室(煙害克服の歴史):別子銅山での煙害克服の歴史について学べる展示です。
第二展示室(銅精錬の歴史と四阪島の記憶):銅精錬の歴史や、四阪島での活動についての資料が展示されています。

館外設備

展望台:記念館から約150mの最高地点にある展望台からは、新居浜市や四阪島、そして別子銅山のあった赤石山系を360度のパノラマで望むことができます。展望台には、かつて四阪島にあった大煙突(高さ64m)の底部内径(9.7m)を模した鍰(から)煉瓦の囲いが設置されています。

利用情報

観覧料と開館時間

観覧料:無料
開館時間:午前9:00から午後4:30まで
休館日:月曜日、国民の祝日(祝日が日曜日の場合は開館)、10月17日、12月29日から1月3日まで
館内撮影禁止:展示物保護のため、館内での写真撮影は禁止されています。

交通アクセス

JR予讃線新居浜駅から:バスで約20分(イオンモール西側の前田郵便局前)、またはタクシーで約10分。バス停・駐車場から約300mの遊歩道を約10分歩いたところにあります。
専用駐車場:前田郵便局前に無料駐車場(バス2台、普通車50台)があり、身体の不自由な方が同乗の場合は、事前に0897-31-5017に連絡することで、記念館横まで車で乗り入れることができます。

Information

名称
日暮 別邸 記念館
(ひぐらし べってい きねんかん)

新居浜・西条・石鎚山

愛媛県