金砂湖畔公園は、愛媛県四国中央市金砂町に位置する美しい公園です。この公園は、金砂湖県立自然公園に属し、自然豊かな環境の中で四季折々の風景を楽しむことができます。公園内には、遊具や水車小屋、資料展示館などの施設が整備されており、家族連れや観光客にとって人気のスポットとなっています。特に春には桜、夏には紫陽花が見頃を迎え、訪れる人々の心を癒してくれます。
金砂湖は、銅山川を堰き止めて建設された柳瀬ダムによってできた人造湖です。湖の周囲は、国道319号線を走る赤いトラス橋「平野橋」が象徴的で、その景観は非常に印象的です。湖周辺には四阿(あずまや)が点在し、訪れる人々がゆったりとした時間を過ごせる場所となっています。また、湖畔には船型の遊具や資料展示館もあり、歴史や自然について学ぶことができるのも魅力の一つです。
金砂湖では、釣りや水上レジャーが盛んに行われています。特に釣り愛好家にとってはブラックバスが有名で、日本国内でも注目されているスポットです。湖でのボート体験や水上遊楽も人気が高く、観光シーズンには多くの人々が訪れます。4月には桜の美しい景観が楽しめ、6月には紫陽花が湖畔を彩り、訪れる人々を魅了します。これらの自然の美しさを楽しむために、毎年多くの観光客が訪れています。
金砂湖畔では、毎年8月上旬に「湖水祭り(こすいまつり)」が開催されます。この祭りは、柳瀬ダムの建設によって水没した地域への思いと、四国中央市に送られる工業用水や生活用水としての金砂湖の水に感謝するためのものです。祭りの際には、さまざまなイベントが行われ、地元の人々や観光客が一緒に楽しむことができます。また、1年ごとに花火大会も開催され、夏の夜空を彩る美しい花火が楽しめます。
金砂湖畔公園へのアクセスは、松山自動車道の三島川之江ICから約35分で到着します。国道11号川之江三島バイパスを経由し、国道319号を進むと公園に到着します。しかし、途中にある法皇トンネルは狭いため、運転には注意が必要です。バイパス道路の整備が進んでいるものの、安全運転を心がけることが大切です。
柳瀬ダム(やなせダム)は、吉野川水系の銅山川に建設されたダムで、その湖は「金砂湖」として知られています。このダムは、愛媛県の水資源確保を目的として建設されました。特に、瀬戸内海気候に属する宇摩地域は慢性的な水不足に悩まされており、安定した水供給が長年の課題でした。そのため、愛媛県では灌漑や発電を目的に銅山川の水を分水する「銅山川分水計画」が立ち上げられました。
銅山川分水計画は、宇摩地域の水不足を解消するために始まりました。1924年には「銅山川疏水事業期成同盟会」が結成され、分水の実現は地域の悲願となりました。1928年に発表された柳瀬ダム計画は、灌漑や発電を目的としており、法皇山脈を貫く壮大な計画でした。しかし、下流の徳島県が水利権を盾に反対し、計画は一時頓挫しましたが、内務省の調停により灌漑目的のみに計画が縮小され、最終的には1953年にダムが完成しました。
柳瀬ダムは、洪水調節や灌漑、水道、工業用水の供給、発電など多目的な機能を持つダムとして再計画されました。1950年には銅山川分水の仮通水が実現し、地域の水不足解消に大きく貢献しました。ダムの形式は重力式コンクリートダムで、高さ55.5メートルに及びます。また、徳島県との合意事項として、一定量の河川維持用水を放流する責任放流が義務付けられていましたが、後に早明浦ダムの完成によりこの義務は解消されました。
「金砂湖」という名前は、1300年以上前、孝徳天皇の時代にこの地域で砂金が採取されていたことに由来します。この湖は、銅山川分水の水源として宇摩地域の重要な水がめとなっていますが、その陰では柳瀬集落160戸の住宅や169ヘクタールの農地が水没しました。このダムは当初、愛媛県が管理していましたが、2021年からは水資源機構に管理業務が委託されています。
金砂湖は、過去に日本最大のブラックバスが釣れたことで全国的に知られており、釣り愛好家にとっての聖地とも言えます。バス釣りの全国大会もかつては盛大に開催されていました。湖の上流には、整備された金砂湖畔公園があり、ここを拠点に様々なレジャーを楽しむことができます。自然に囲まれた湖畔での散策や、水上レジャーは、訪れる人々にリフレッシュの場を提供します。
金砂湖畔公園と柳瀬ダムは、愛媛県四国中央市の豊かな自然と歴史を象徴する場所です。釣りや水上レジャーを楽しむだけでなく、地域の水資源を支える重要な役割も果たしています。湖水祭りや花火大会などのイベントもあり、観光客にとっても魅力的なスポットです。これからの季節、自然の美しさを堪能し、地域の歴史に触れるために、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。