愛媛県 » 新居浜・西条・石鎚山

南光院

(なんこういん)

南光院は、愛媛県新居浜市別子山にある高野山真言宗の寺院です。1901年(明治34年)に別子山保土野にあった圓通寺がこの地に移転されたことから現在の形となりました。本殿は険しい斜面に位置し、訪れる参拝者に独特の雰囲気を提供しています。

歴史

南光院の歴史

南光院は、1694年(元禄7年)に土居上野を巡錫していた快盛法印が住友家の要請を受けて、別子銅山の鉱夫や村人の精神教化に努めたことが始まりです。快盛は1706年(宝永3年)に62歳で亡くなりますが、その功績が認められ、寛政年間(1789年-1801年)には別子銅山の守護神「南光八幡大菩薩」として祀られることとなりました。1874年(明治7年)の神仏分離に伴い、南光院は圓通寺の鎮守とされ、1899年(明治32年)の大水害でも拝殿は無傷で残りました。

圓通寺の歴史

鎌倉時代に、近藤季俊によって土佐国大北川に開創された圓通寺は、慶長年間(1596年 - 1615年)に本村大野山の久保に移転されました。その後、1678年(延宝6年)に保土野に勧請され、1705年(宝永2年)に再建されました。しかし、老朽化が進んだことから、1901年(明治34年)に寺地を現在の場所に提供し、学校の建設を支援することとなりました。これにより、現在の新居浜市立別子小中学校の運動場の一部は、かつての圓通寺の境内の一部でした。廃寺後も、圓通寺の跡地には石碑が残され、歴史を偲ばせています。

伽藍

南光院の伽藍は、明治12年に再建された拝殿や護摩堂、そして元圓通寺本寺の建物などで構成されています。南光院本殿は境内背後の斜面をジグザグに約10分ほど上ったところに位置し、険しい地形の中にその姿を見せます。特に、樹齢約300年とされるサルスベリの木は、その見事な姿で訪れる人々を魅了しています。

南光院拝殿・護摩堂

拝殿と護摩堂は明治12年に再建されました。

圓通寺本堂

この本堂は、年に一度、住友関係者が供養のために訪れる際のみ開帳され、法会が行われます。かつての圓通寺本寺の建物が保土野から移設されています。

南光院本殿

本殿は、境内背後の斜面を約10分間、ジグザグに上がったところに位置し、住友トクにより建立されました。

サルスベリ

樹齢約300年を誇るサルスベリは、樹高約13m、幹周り0.8mの大木で、境内に独特の景観を与えています。

白尾神社

この神社は、南光院快盛が蛇淵の大蛇を退治した際に祀られた神社です。大蛇は退治された際に三つに分かれ、その頭は現在の別子ダム湖に、胴体は三ガ森に、尾はこの地に祀られたと言われています。神社の祠は白尾谷の上方にありますが、道が失われたため辿り着くことができません。

西国三十三所の石仏

本殿へ続く参拝道には、西国三十三所の石仏が点在しており、これらは大僧正良諦和尚によって建立されました。

句碑歌碑

境内には、合田正良や阿部里雪の句碑・歌碑が東側入口に並んでいます。「もろもろの人の祷ぎことききまして佛か志こ久ほほえみ給う」(合田正良)、「老鶯の聞こえ頼もし老いの耳」(阿部里雪)と刻まれています。

文化財

新居浜市指定有形文化財

木造阿弥陀如来立像:平安時代後期の11世紀後半から12世紀にかけて作られたと考えられ、2003年11月4日に指定されました。

木造大日如来坐像:江戸時代に作られたとされるこの像は、像高45cm、総高100.4cmで、衣部は漆箔、肉身部は金泥塗されています。

木造聖観音菩薩坐像:室町時代に作られたとされるこの仏像も文化財に指定されています。

新居浜市指定有形文化財(歴史資料)

圓通寺棟札:圓通寺に関わる重要な歴史資料です。

鉱石地蔵菩薩立像:像高93cm、銅鉱石で作られたこの立像は、江戸時代前期の元禄期に作られたと伝えられています。

新居浜市指定天然記念物

オオモミジ:推定樹齢300年のオオモミジは、高さ18m、周囲3.12mを誇り、その根元には苔が敷かれ、庭園のような趣を醸し出しています。

交通アクセス

南光院へのアクセスは、一般道を利用して新居浜市街から愛媛県道47号新居浜別子線を進み、大永山トンネルを越えて旧別子山村へ向かいます。所要時間は約15分ほどです。険しい山道を通りますが、その先に待つ南光院の厳かな雰囲気は、訪れる人々に心の平穏をもたらします。

その他の情報

南光院は、新居浜市だけでなく、広く愛媛県内外からも多くの参拝者が訪れます。歴史と文化が息づくこの地は、別子銅山の歴史と共に、地域の人々にとって重要な精神的な支えとなっています。

南光院に関する更なる情報は、愛媛県新居浜市の文化財や観光案内などの資料をご覧いただくと、より詳細な情報を得ることができます。また、近隣の旧別子や別子山ふるさと館、大山積神社などの観光地も併せて訪れることで、より充実した旅行を楽しむことができるでしょう。

まとめ

南光院は、愛媛県新居浜市別子山にある高野山真言宗の寺院で、長い歴史と文化財を有しています。圓通寺の移転により現在の場所に根付いたこの寺院は、鉱夫や村人たちの心の拠り所として重要な役割を果たしてきました。南光院を訪れることで、地域の歴史や文化、そして人々の信仰心に触れることができるでしょう。

Information

名称
南光院
(なんこういん)

新居浜・西条・石鎚山

愛媛県