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香園寺

(こうおんじ)

香園寺は、愛媛県西条市小松町南川に位置する真言宗系の単立寺院であり、四国八十八箇所霊場の第六十一番札所として知られています。寺院の山号は栴檀山(せんだんさん)、院号は教王院(きょうおういん)であり、本尊には大日如来が祀られています。また、香園寺は「子安大師」としても信仰を集めており、特に安産や子育てに関わるご利益があるとされています。

寺院の基本情報

本尊真言

おん あびらうんけん ばざらだどばん

ご詠歌

後の世を思えば詣(まい)れ香園寺 止(と)めて止まらぬ白滝(しらたき)の水

納経印

当寺本尊、白瀧不動明王

香園寺の歴史と沿革

創建と聖徳太子の伝説

香園寺の創建については、詳細は不明ですが、寺伝によると、聖徳太子が用明天皇の病気平癒を祈願して建立したと伝えられています。天皇からは「教王院」の勅号が与えられ、寺は重要な宗教的拠点として発展していきました。

空海と安産の祈り

大同年間、弘法大師(空海)が香園寺を訪れた際、門前で出産に苦しむ女性を見かけます。空海は栴檀の香を焚いて加持祈祷を行い、無事に男の子が誕生しました。この出来事をきっかけに、香園寺は安産や子育てに関する信仰の寺として名高くなり、現在でも「子安大師」として親しまれています。また、空海は安産・子育て・身代わり・女人成仏を祈願する護摩修法を行い、その伝統は今でも続いています。

兵火と再興

天正年間(1573年~1592年)、香園寺は兵火により焼失しましたが、江戸時代に入り小松藩主である一柳氏の帰依を得て、寛永年間(1624年~1644年)に再興されました。また、かつては高鴨神社の別当寺としての役割も果たしていたとされています。

近代の発展と大聖堂の建立

1903年(明治36年)、山岡瑞園大和尚が香園寺の36代住職に就任し、1914年(大正3年)には本堂を再建しました。また、彼は「子安講」を創設し、その教えは全国のみならず、海外にまで広がることとなりました。1976年(昭和51年)には、鉄筋コンクリート造りの大聖堂が建立され、その堂々たる姿が現代の香園寺の象徴となっています。

香園寺の境内

大聖堂

香園寺の大聖堂は本堂と大師堂を兼ね備えた建物であり、高さ16メートル、620席を誇る大規模な建築です。大聖堂の二階には、前立本尊と大師像が祀られており、訪れる人々はこの堂内で祈願を行うことができます。一階には、外からも参拝できる簡素な仏像が安置されており、参拝者はいつでも手を合わせることができます。

子安大師堂と聖徳殿

境内には、赤子を抱いた鋳造の大師立像を安置する子安大師堂があり、子どもの健やかな成長を願う人々が多く参拝に訪れます。また、聖徳太子を奉る祠である聖徳殿も境内に佇み、香園寺の歴史を今に伝えています。

その他の見どころ

境内には鐘楼、戦争慰霊観音像、そして句碑が立ち並んでいます。特に、句碑には種田山頭火の句「南無観世音おん手したたる水の一すぢ」や川柳「偉い子はいぬがどの子も親思い」といった名句が刻まれ、訪れる人々の目を引きます。

香園寺へのアクセス

鉄道

香園寺へは、四国旅客鉄道(JR四国)予讃線の伊予小松駅から徒歩約20分(1.5キロメートル)の距離です。駅からは比較的近い場所にあり、アクセスもしやすい立地です。

バス

バスを利用する場合、せとうちバス「小松総合支所」バス停から約15分歩けば到着します。こちらも駅と同様、利便性の高い交通手段となっています。

車でのアクセスも可能で、国道11号を通り小松町新屋敷の交差点からすぐの場所にあります。また、松山自動車道のいよ小松ICから約2.8キロメートルと車でのアクセスも良好です。駐車場は75台分、大型車3台分が無料で利用できます。

奥の院と白瀧

白瀧不動明王

香園寺の奥の院には、白瀧不動明王が祀られています。この仏堂は、1933年(昭和8年)に山岡瑞園によって創設され、本尊には不動明王が安置されています。

白瀧滝行

奥の院からさらに奥に進むと、「白瀧」と呼ばれる滝があり、ここでは滝行が行われています。白瀧の美しい流れと厳かな雰囲気は、修行の場として多くの人々に親しまれています。また、滝行が行える場所としても人気を集めています。

納経の詳細

奥の院での納経は、職員が滞在している時に限り可能です。滞在時には午前9時から午後3時の間に納経を行うことができますが、職員不在時は香園寺本堂にて納経を行うことができます。

文化財

香園寺は、西条市に指定されている文化財も多く、その歴史的価値が高く評価されています。特に、一柳直卿による扁額「栴檀山」や「教王院」は、市の指定工芸品として保護されています。また、大日裏山2号古墳も市指定史跡に登録されており、寺院と共に古代の歴史を物語っています。

香園寺周辺の弘法大師ゆかりの寺院

久妙寺

香園寺の周辺には、弘法大師ゆかりの寺院が点在しています。中でも「梵音山弘法院東光坊久妙寺」は、かつて法相宗の寺院であり、弘法大師が逗留した後に真言宗に改宗されました。本尊は千手観音であり、桜の名所としても知られています。

定光寺

さらに、香園寺から少し足を延ばすと、「定光寺」という寺院が存在します。こちらの寺院も、香園寺と同じく弘法大師ゆかりの地であり、安産祈願や子育て祈願が行われる寺院として知られています。

Information

名称
香園寺
(こうおんじ)

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