浦渡神社は、愛媛県新居浜市に鎮座する神社で、旧社格は郷社に指定されています。主祭神には大山祇命(おおやまつみのみこと)が祀られており、配祀神として大雷命(おおいかづちのみこと)、高龗命(たかおかみのみこと)、天津甕星命(あまつみかほしのみこと)が祀られています。神紋は「折敷に揺り三」とされています。
浦渡神社の創建年代は明らかではありませんが、大和時代から存在していたと伝えられています。『伊予温故録』には、「越知郡大三島の内浦渡神社を勧請した。大三島大山祇神社はもと浦渡神社と称し、瀬戸村に在った云々」と記されています。
また、『社名式』によると、但馬国気多郡雷神社、山城国愛宕郡貴船神社、伊予国越智郡大山祇神社の一社であるとされ、『予陽郡邑古考抄』には、菅原道真公が新居郡の船木明神と泉川浦渡の神を巡り、奉納の幣を捧げた記録が残されています。神社の繁栄は、大同三年の棟札や河野家をはじめとする多くの武将たちの尊崇に支えられていました。
天正の陣では戦火に巻き込まれ、社殿や宝物が焼失しましたが、文久二年(1862年)に現在の社殿が再建されました。かつて、4月15日には部落ごとに選ばれた選手による相撲大会が行われており、その際には昭和8年に陸軍大将荒木貞夫閣下が寄贈した優勝旗をかけて熱戦が繰り広げられました。
浦渡神社は閑静な住宅街に位置し、国道11号と新居浜バイパスに挟まれています。神社を囲む「浦渡の森」には、大榊や老松、古桜が繁茂し、境内中央にある鳴鐘泉(なるかねいずみ)からは清水が湧き出しています。この清涼な光景は一幅の絵画のように美しく、訪れる人々の心を癒します。
毎年4月15日には、新居浜市立泉川中学校の創立記念として奉納相撲大会が行われ、地元の文化として定着しています。この大会は、年初のクラスマッチの一環としても位置づけられ、地域の伝統と若者のスポーツ精神を結びつける重要な行事となっています。また、神社は隣接する高柳公園とも連携しており、この公園は新居浜三名園の一つとして知られています。
浦渡神社では、年間を通じてさまざまな祭事が行われています。
毎年10月16日から18日にかけて行われる新居浜太鼓祭りでは、上部地区の太鼓台が集結し、神社周辺は多くの見物客で賑わいます。各部落の太鼓台が宮出・宮入やかきくらべを行い、勇壮な光景が繰り広げられます。