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一宮神社(新居浜市)

(いっく じんじゃ)

一宮神社は、愛媛県新居浜市に鎮座する歴史ある神社です。古くから新居郡の一宮として崇敬されており、その社名はこれに由来します。旧社格は県社で、境内には国の天然記念物に指定されたクスノキの社叢が広がっています。

概要

祭神
一宮神社の主祭神は、大山積神(おおやまつみ)、大雷神(おおいかづち)、高龗神(たかおかみ)の三柱です。また、健御名方神(たけみなかたのかみ、諏訪神)も配祀されています。これらの神々は、それぞれ山、雷、水に関連する神として崇敬されており、地域の安全や豊穣を守護する神々とされています。

歴史

創建年代は不明ですが、古くから大山積神が祀られていました。和銅2年(709年)には、大三島から大雷神と高龗神が勧請されました。嵯峨天皇は自身の養母である賀美能宿禰の出身地である新居郡に縁が深く、一宮神社は勅願所として「神号正一位一宮大明神」の額を賜りました。

天正13年(1585年)には、天正の陣の際に毛利氏と小早川隆景の軍により焼き討ちに遭い消失しましたが、その後、元和6年(1620年)に毛利氏によって再建されました。宝永2年(1705年)には、西条藩主松平頼純が現在の社殿を造営し、「西条藩六社」の一つに加えました。現在の社殿は、宝永2年(1705年)に建てられた本殿と、明治30年(1897年)に建てられた拝殿、第2次世界大戦後に建てられた幣殿で構成されています。

2011年の東日本大震災を契機に耐震診断が行われ、2001年の芸予地震で拝殿の柱が折れていることが判明しました。これを受けて、拝殿と幣殿を合わせた新しい拝殿が2017年に新築されました。

境内

神社は官庁街に接する市の中心部に位置しており、主要幹線道路に面していますが、国の天然記念物に指定された大楠などの杜に囲まれ、静寂で長閑な雰囲気を保っています。境内には以下の施設や御社があり、地元住民の憩いの場ともなっています。

一の鳥居と参道
一宮神社の参道には、左右に並ぶ大きなクスノキが見事で、参拝者を迎えます。参道の途中には県道が横切り、二の鳥居へと続きます。一の鳥居は元禄15年に初めて建てられ、昭和29年に再建されました。

随神門と太鼓台
随神門は、地元の新居浜太鼓祭りにおいて、太鼓台が通過して境内に入るための重要な門であり、高さは約5.4メートルもあります。この祭りの際には、多くの参拝者や観光客で賑わいます。

本殿と拝殿
本殿は流造で、背後には伊與八幡神社が並んでいます。拝殿は2017年に新築され、美しい佇まいを見せています。

摂社・末社

本殿の周囲には、伊與八幡神社、素鵞神社、新居神社、金毘羅宮、稲荷社、楠木神社などの摂社・末社が点在しています。特に楠木神社は、樹齢1000年とされる「一番楠」の根元にあり、そこに棲み付いていたとされる当社の神使「小女郎狸」が祀られています。

神宮寺址

境内には、かつて戦国時代の天正の陣で兵火により廃寺となった萬願寺の跡地があり、一宮神社の宮司一族の墓所が存在します。また、上仙菩薩之奥城が昭和37年に旧・石土山(笹ヶ峰)の天然石で祀られました。

祭事

一宮神社は、毎年秋に行われる新居浜太鼓祭りの中心地です。この祭りでは、神社が位置する川西地区の太鼓台が一堂に会し、宮入やかきくらべが行われ、多くの見物客で賑わいます。また、隔年で行われる海上渡御「舟御幸」では、海上での安全や豊漁を祈願する儀式が行われます。

文化財

国の天然記念物:新居浜一宮神社のクスノキ群

一宮神社の境内に広がるクスノキの社叢は、国の天然記念物に指定されています。樹齢1000年を超える巨木を含む多数のクスノキが生育しており、その中でも樹高20メートルに達するものが15本、根回り1メートル以上のものが50本以上確認されています。この美しい自然環境は、1951年(昭和26年)に指定を受けた貴重な文化財です。

Information

名称
一宮神社(新居浜市)
(いっく じんじゃ)

新居浜・西条・石鎚山

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