愛媛県 » 新居浜・西条・石鎚山

星越(愛媛県新居浜市)

(ほしごえ)

星越は、愛媛県新居浜市に位置する地域で、かつては別子銅山に関連する産業と鉄道の拠点として栄えた地です。

星越選鉱場と星越駅

星越選鉱場の歴史

別子銅山では、時代と共に採掘された鉱石の銅比率が低下し、低品位の鉱石からでも銅を精錬できる技術が求められるようになりました。これに応じて、金子村前山(現在の位置)の斜面に浮遊選鉱場が建設され、大正14年(1925年)4月に竣工しました。その翌年には、東平から粉選鉱場と粒選鉱場が移設され、浮遊法と比重法を併用した選鉱操業が開始されました。この改良により、1日あたり900トンの鉱石を処理できるようになりました。

星越駅の役割

選鉱場の建設と同時に、別子鉱山鉄道下部線の拠点として星越駅が設置されました。昭和4年(1929年)には選鉱場の近くにある水田と湿地帯に山田社宅が建設され、多くの労働者とその家族が暮らしていました。この時期から、星越駅は通勤客のための一般向けの駅としても利用されるようになり、地域の重要な交通拠点となりました。

星越選鉱場の施設とその役割

星越地区には、選鉱場のほかにも様々な関連施設が存在していました。選鉱場は2009年に操業を停止し、2010年8月には解体工事が始まりましたが、その歴史的な役割は今なお語り継がれています。星越駅は2016年に改装され、地域の観光スポットとしても親しまれています。

星越に関連する施設と観光スポット

日暮別邸記念館

星越地区には、日暮別邸記念館という重要な施設も存在します。これは、かつて四阪島にあった住友の別荘を移築し、2018年11月1日から一般公開されているものです。この館の見学後には、徒歩約150メートルの場所にある展望台から新居浜市を360度見渡すことができる絶好のスポットもあり、観光客にとっても魅力的な場所となっています。

星越トンネルと太鼓橋

さらに、星越トンネルは明治26年(1893年)に建設されたもので、長さ約110メートルのトンネルとして、星越から惣開への通路を提供していました。太鼓橋は、山田住宅から選鉱場へ通じる道の上に架かっており、地域の産業と交通を結ぶ重要な役割を果たしていました。

山田社宅の歴史

星越地区にはかつて山田社宅が存在し、最盛期には約250戸の家が立ち並び、約1000人が生活していました。この社宅は、選鉱場で働く労働者とその家族の生活の場であり、星越地区の産業を支える一翼を担っていました。

周辺の関連遺産

泉寿亭と別子銅山記念図書館

星越地区の周辺には、歴史的な遺産も多く存在します。泉寿亭は昭和12年(1937年)に住友企業の迎賓館として建設されたもので、4000坪の敷地に一部二階建ての27室を有する壮大な建物でした。現在では、その跡地に別子銅山記念図書館が建設され、館の玄関や客室の一部がマイントピア別子に移築されています。

住友倶楽部と自彊舎

また、住友倶楽部は昭和11年(1936年)に竣工し、2010年からは「住友金属鉱山人材開発センター星越館」として利用されています。他にも、自彊舎跡(じきょうしゃあと)という施設もあり、これは鉱夫の教育機関として昭和元年(1926年)に設立され、地域の教育活動に重要な役割を果たしていました。

文化財としての星越地区

国の登録有形文化財

星越地区には、数多くの国の登録有形文化財が存在しています。代表的なものとして、旧住友鉱業株式会社別子鉱業所長社宅主屋旧住友化学工業株式会社幹部社宅などがあり、それぞれ令和2年(2020年)に登録されています。これらの建物は、住友グループの歴史を物語る重要な文化遺産として保護されています。

新居浜市指定有形文化財

また、白石家文書野田家文書といった古文書も、新居浜市の指定有形文化財として保管されています。これらは別子銅山に関わる貴重な資料であり、地域の歴史を知る上で重要な役割を果たしています。

星越地区のまとめ

星越地区は、別子銅山を中心とした産業と鉄道の歴史を持つ地域であり、選鉱場や社宅、関連施設などが地域の発展に大きく貢献してきました。現在でも多くの遺産や文化財が残されており、歴史を学ぶ観光地としても注目されています。訪れる際には、星越トンネルや太鼓橋、展望台などを巡りながら、その歴史に触れてみることをお勧めします。

Information

名称
星越(愛媛県新居浜市)
(ほしごえ)

新居浜・西条・石鎚山

愛媛県